そのおかげで

2月27日の宮ブーメルマガに深く感動しました。


「千恵子は事故で障害を持って、
なくしたものもいっぱいあるかもしれないけど、
そのおかげで、ありがとうっていっぱい言う機会をもらったんだよ」
と言えるお母さんはなんて素敵なんでしょう。


メルマガ「ありがとうの花」より転載させていただきました。


・・・・


私は昨日から、宮ぷーにいいたいこと、
言わなくちゃと思っていることがありました。
宮ぷーの横に座って、宮ぷーに話をしたよ。
宮ぷー、昨日、宮ぷーが足が少し痛くて、私がマッサージをしたあと、
レッツチャットで私に、
「あし まっさーじありがとう」と言ってくれたよね。
私すごくうれしかった。
「どういたしまして」って笑って言ったよね。


ちょうど来てくださっていた看護婦さんが、
「かつこさんにはありがとうって言うんだね。
私は宮田さんにいいと思って吸入かけても、
ぷーんって怒ってるんだよ」
っておっしゃったよ。
宮ぷー、看護婦さんが宮ぷーのこと、どうでもいいやって思ったら、
吸入かけてなんてくださらないよ。
吸入しているときは苦しいんだよね。
酸素じゃなくて、水蒸気が入ってくるか
らね。私もわかるよ。
それから、そのあと痰がいっぱい出て、
そのときは苦しいかもしれない。
でも、出さなくちゃならないんだよ。
宮ぷー、
宮ぷーは看護婦さんや介護士さんに、
ちゃんとありがとうって思ってる? 
宮ぷーの今日や昨日のお話を聞いたら、
ありがとうって思ってないのかなあって思っちゃったよ。
とっても忙しい看護婦さんや介護士さん。
たとえば、ナースコールで少し時間が遅くなったりとか、
何か、宮ぷーがもうちょっと早くとか、
ちょっと痛かったとか何かあるかもしれない。
でも、ありがとうの思い、絶対に忘れちゃだめだよ。
宮ぷーは学校の子供たちに、トイレの介助をしたら、
ありがとうって言うんだよって、話すんでしょう? 
え!?話さない? 
そっか。宮ぷーの思いはこういうことかな? 
介助してもらう人がお礼を言っていたら、
いつもいつもありがとうばかり言っていないといけない。
そばにいて、できる人が手伝うのはあたり前。
だから、ありがとうってばかり言わなくてもいいよって思ってるから? 
宮ぷーはそうだって言った。
そうだよね。その思いはわかるよ。


私の話を聞いて。
こういうことがあったんだ。
昔ね、千恵ちゃんっていう女の子と一緒にいたんだよ。


能登にね、砂の芸術っていう祭典があってね。
祭典が終わったあと立ち入り禁止区域だったんだと思うのだけど、
千恵ちゃんと妹さんが砂の芸術の中に入って、
砂が崩れてきて、生き埋めになってしまった。
妹さんは最初、千恵ちゃんよりはだいじょうぶそうで、
千恵ちゃんのほうが危篤だったんだって。
でも、急に妹さんが悪くなって亡くなって、
千恵ちゃんは意識不明で、
でも、千恵ちゃんは強く強く生きることができたの。
千恵ちゃんは車椅子に乗ることになったの。


「ゆうきくんの海」という本に私は千恵ちゃんのこと書いたよ。
その千恵ちゃんとね、養護学校で出会ったんだよ。
千恵ちゃんはね、
トイレでもどこでも、私が千恵ちゃんを抱きかかえたら「ありがとう」。
座ってもらったら「ありがとう」って
ありがとうを何度も何度も言うんだよ。
千恵ちゃんに、
「そんなにありがとうって言わなくてもいいよ。私は千恵ちゃんとトイレに来るのがうれしいし、千恵ちゃんといると楽しいし、
そんなに何度もありがとうばかり言っていたら、
千恵ちゃんずっとありがとうばかり言わなくちゃならなくなるよ」って
そう言ったの。
そうしたら、千恵ちゃんがこう言ったよ。


「かっこちゃん、そうじゃないよ。
お母さんが教えてくれたの。
ありがとうって言うと、千恵子の心に花が咲くよって。
相手の心にも自分の心にもありがとうって言うと花が咲くよって。
お母さんがね、
千恵子は事故で障害を持って、
なくしたものもいっぱいあるかもしれないけど、
そのおかげで、
ありがとうっていっぱい言う機会をもらったんだよ。人に手伝ってもらわないと千恵子は生きていけない。
でも、そのたびにいっぱいありがとうと言えるね。
そうすると、心に花が咲くんだよって、
お母さんが教えてくれたよ。
かっこちゃん、
ありがとうと言うと、うれしいよ。
ありがとうと言うと、幸せになる。
私もみんなも幸せになる。
私は、みんなに手伝ってもらわないといけない。
でもだからこそ、
ありがとうがいっぱい言える体にしてもらったんだよ」


千恵ちゃんがそう教えてくれたの。
私は泣いたんだよ。
トイレで千恵ちゃんと抱き合って泣いたの。
ありがとうっていっぱい言って泣いたよ。


私はそれから、ありがとうと言うと、
なんだか、心にひまわりがひとつ咲いた気がしたの。
千恵ちゃんはひまわりが好きだからね。


宮ぷー、
誰かを恨んだり、誰かを責めている間は
自分も決して幸せになれない。
感謝していると、
きっと相手も、うれしくなって、
宮ぷーのこと、いっそうよくしてくださるよ。
私は宮ぷーにそうしてもらいたいの」


宮ぷーは最初、私の反対側に顔を向けてた。
きっと宮ぷーにも言いたいこといっぱいあるんだと思う。
でも、私がしゃべり続けてて、
宮ぷーはそんなに速くレッツチャットって打てないもの。
だから、宮ぷーは私に話せない。
ごめんね。宮ぷー。
でも、そう思うんだもん。
宮ぷーはそしてね、吸入してくれるって約束してくれました。


そのことを体交のときに、
来てくださった看護婦さんと介護士さんにお話をしたよ。
看護婦さんが「宮田さんそうしてね。
宮田さんよくなれば、外出だけでなくて、外泊もできるよ。
鼻からの栄養の方は難しいんだけど、
胃ろうチューブで栄養をとっている方は外泊もできるのよ。
吸入をいっぱいして、痰が自分で切れるようになったら、
気切もきっと閉じれる」
って言ってくださったの。


介護士さんは
「夏にエヴァンゲリオンの次の映画が来るよ。
かつこさんと映画館に行っておいでよ。
2時間くらい車椅子にずっと乗っていられる?」


宮ぷーはお二人のお話に目を輝かせていたよ。
そうだよね。
宮ぷー、私も、心から感謝をしています。
宮ぷーを守ってくださっているみなさんに。
そして、宮ぷーにも感謝しているよ。        (一部省略)


・・・・・


かつこさん、宮ブー、繋がったみなさん、
ありがとうございました。


「ありがとうの花」は、
郁代から教えてもらったこと、すぐ忘れてしまう私に、
郁代が届けてくれたものでした。


宮ぷー心の架橋プロジェクトを応援します。