『小さな巨人』最終話

(あまりこのひとがこんなふうに涙を流すのって見たことないような気がするというのに)泣いてる香川照之を見ても叫ぶ長谷川博己を見ても心にさざ波すら立たないって逆にすごいと思うの。
この熱演に対し中身すっからかんとか本気で意味がわからない。
泣いてる小野田を放置してわざわざ一課長の椅子のところに行って(ドラマ的には)誰もいない空間に向かってあの勢いで「私の目を見てください!!!」とかほんとにもう・・・・・・何度も何度も「勘」で犯人扱いしてきた挙句「貴方は私を信用しすぎた(録音してました!)」ってもうね・・・・・・役者の方々にはただただお疲れ様でしたという以外に言葉がないです。
これだけ正義がどうだとか言ってた主人公が証拠のはずの紙切れを懐に入れてニヤリって、もはやなにがなんだか。それでいいのか山田。それでいいのか渡部。
でもこのニヤリ顔だけは素敵だった。長谷川博己のゲス顔だいすき。
(って、あれ?もしかしてこれこそが『敵(主人公)は(視聴者にとっての)味方のフリをする』ってことだったりするのか?)
あとあれです、そんなところでそんな話をするとか突き落としてくれと言ってるようなものじゃないか・・ってのはソレとして(それより一個人がクレーンに鉄骨つるしてそれをリモコンで操作して下に居る人物の頭をかすめるようにして(直撃してたらぐちゃぐちゃに潰れるだろ)的確にヒットさせ、鉄骨もろとも痕跡を残さないとかどんだけ殺人スキル高いんだよ!ってな話よなw)、高橋洋さん演じる秘書に最終回でまさかこんなに出番(新しいシーン)があると思ってなかったのでちょっと得した気分でした。安い女でよかった。

似鳥 鶏『彼女の色に届くまで』

彼女の色に届くまで

彼女の色に届くまで

絵画にまつわる謎を天才的な絵の才能を持つ千坂桜と彼女の才能を見出し導き支える緑川礼が解き明かす青春ミステリーです。
高校一年で出会った二人が芸大に入りそして社会人になる時間の経過が描かれていて、その時々で事件に遭遇し解決しつつメインとしては父親が画廊のオーナーで自らには絵の才能があると思っていた緑川礼が、自らが見出した千坂桜という圧倒的な個性と才能、そして女性としての千坂に対し複雑な感情を抱きつつも離れられない関係のほうにあります。
二人と共にもう一人、風戸という友人がずっと登場しているのですが、このキャラクターが妙に味がある。とにかく自らの筋肉美を誇る男なんだけど、その筋肉が作中で何がしかの働きをすることはないんですよね。おかしな男であるということ以外存在理由が見つからないんだけど、でも風戸がいるから「青春」パートを楽しく読めたというところが大いにありました。結局最後までなんだかわからないキャラクターのまんまだったけど(笑)。
緑川礼の想いと千坂桜の想い。特別な才能を持って生まれた者の業と持たざる者の業というとちょっと大げさかもしれないけど、二人が共に生きる道として下した決断はなかなか好みの着地でしたが、ただ作中にウザいと思うほど注釈があって、最初は絵画(美術)に関する補足説明でありちょっとした薀蓄として読んでいた(読めていた)けど徐々にどうでもいいことも書かれるようになるのでもしかしてここ(過剰な注釈があること)に作品全体を通しての仕掛けがあるのかと思ったんだけど、別にそういうものはなくて、最後のほうはほとんどなかったことだしこんなにごちゃごちゃごちゃ入れられてなかったらもっとすっきりした気持ちで読み進められたのになーという気持ちは残る。