映画館を出ると、


 ネットでクチコミとかをチェックしていた限りにおいてはあまり面白くはないのかもしれないな、と思いつつも、13時より渋谷ユーロスペースで映画「つむじ風食堂の夜」を見てきた。私の後ろに座った老夫婦のご主人の方が、途中で「もう出よう」とか、終わったあとには「詐欺にあったようなもんだ」とか、要するに彼にとっては全然面白くなかったということらしいが、まあ、どうして、何を期待してこんな単館映画に来たものだろうか?原作を読んでいるときに思いをはせる世界の広さが、映像で示されると自由さを失って、こういう原作は映画には向かないのかもしれないが、しかし、ラスト直前の果物屋と主人公のとある場面は秀逸で、そこだけでも価値があった。何度か見たらまた違う感想になりそうな映画。篠原監督の函館を舞台にした映画には、オー・ド・ヴィーがあるが、オー・ド・ヴィーも何度か繰り返し見たくなる映画だった。

 映画が終わり外に出ると、とくに今の季節だからだろう、浦島太郎のように時間が物凄く過ぎてしまったように感じる。日はすっかり傾いていて。西日の松濤、神泉、円山、をカメラを持って小一時間ぶらつく。上の写真(空きビルのドア)は左の方にカメラを胸のあたりで構える私の影が写ってしまっています。