キュービックを追え!

 大晦日。一年の最後を迎える日にも関わらず、大学へ行って、発芽実験中の植物の種の様子を見に行く。予想通り一部にカビが生えていたため、ピンセットで取り除く。そのためだけに大学へ行った、2011年12月31日。

 しかしこれだけでは勿体ない。車が使えるということが唯一の楽しみ。
 そこで、28日に書いた27日の記事にある、神奈中バスのキュービックという車両を見に行こう企画を勝手に立ちあげ、実行してきました。

 その前に、ことの発端は10月中旬。自分は日曜日に大学へ行く際、車を使うんですが、その帰り道、上星川駅付近で、神奈中のキュービックを見つける。自分は“神奈中=三菱エアロスター”という概念があったため、キュービックが存在したことに驚きました。
 家に帰って調べてみると、KC-LV380Lという型式で、横浜神奈交バス、社番や031、1999年車ということが判明。キュービックはあの婉曲したフロントガラスが好きなので、1度撮ってみたいと前々から思っていました。

 神奈中バスには、携帯サイトに「リアル情報案内→目的地到着予測」という項目があります。これは、社番を入力すると、そのバスが向かう停留所の到着予想時刻が表示されると言うもの。バス車内には“このバスは○-**です”と社番が明記されていることから、主に乗客が使うサービスのようです。
 しかし、特定のバスの社番を入力すれば、そのバスがどこにいてどこに向かうのかを確認できるというのは、撮る側にも有り難いサービスです。今回はこのサービスを活用して、キュービックに会いに行くことにしました。


 11時過ぎに大学を出て、“目的地到着予測”に「や031」を入力。お、今日は動いてる。116系統、三ツ境駅行き。
 この情報をもとに、カーナビの目的地に三ツ境駅を入れ、いざ出発。約30分で駅に着けそうです。・・・が、キュービックの三ツ境駅到着はあと15分後。おそらく三ツ境駅で折り返し、別の場所へ向かっていそう。しかしまぁ気にせず、とりあえず三ツ境駅方面へ。

 若干渋滞にはまり、予定より遅れて三ツ境駅へ向かう中、信号待ちでもう一度情報を確認。するとやはり、キュービックは折り返していた。

「116系統・若葉台中央行き」

 ここでひとつ問題が。自分は若葉台がどこにあるのかを知らない・・・。
 さて困った。カーナビにバス停が表示される訳がない。しかも土地勘のない相鉄沿線ときた。どうすれば・・・。信号で止まる度に、カーナビで若葉台を探すも、全然見つからない。そうこうしているうちに、三ツ境駅へ近づいていく。


 と、1台のバスとすれ違った。サイドミラーを何気なく目で追うと、そのバスの行き先は116系統・若葉台中央行き。
 あいつだ! あいつに着いていけば若葉台に行ける!

 と思ってもちょっと遅い。細い片道1車線の道で、後続車もいる。Uターンはおろか、脇道も見当たらない。結局駅前まで到達してしまい、一方通行の道をぐるりと一周、先ほどのバスを追いかけます。
 途中までは1本道だったものの、十字路にぶつかる。しかも幹線道路、これは中原街道と交差している。これはどうするか。左か、右か、直進か。直進方向は何やら林のような森のような中へ道が続いている。そこへバスは入って行ったのか。はたまた中原街道に折れたのか。・・・分からない。

 間もなく信号が変わってしまう。・・・と、直進方向から相鉄バスがやってきた。緑色の古い塗装の方で、車両はエルガ。キュービックの後継機ですね。それを見てハッとする。

「116系統・共通定期取り扱い車・三ツ境駅

 共通定期取り扱い車で116系統と言うことは、先ほどのバスと同じルートを走っていると言うこと。そう、さきほどのバスはここを直進していたのだ。
 ありがたい! 相鉄バスに感謝し、森へ向かうような道を進む。途中でタヌキ飛びだし注意の看板を目にする。分かれ道があったが、明らかにバスが通らなそうな雰囲気だったので却下。

 保土ヶ谷バイパスを潜ったあたりで、さきほどのバスを発見! 若葉台中央行き。これでキュービックの向かう先に行ける!
 再び信号待ちでキュービックの到着予測を確認すると、もうあと数分で終点に着くと言う状況。このまま前のバスについていけば、おそらくキュービックの折り返し時間に間に合うか、折り返してすれ違うかのどちらかになる。とりあえず一安心だ。
 突当たりを左折し八王子街道に入る。しばらく追いかけていくと、バスは大きく右折。信号には亀甲山と書かれていた。ナビを確認すると、ここはちょうど、保土ヶ谷バイパス東名高速の乗り換え地点。なるほど。そちらは時々通るけど、一般道はこうなっていたのか。

 な〜んて考えていたら、少々厄介なことが。亀甲山のバス停が、窪んでいた、すなわち、車線上に停まるのタイプでは無く、バス専用の停車スペースがあるタイプだったのである。これは困った。今までは前のバスがバス停に停まろうとも、抜かさず後ろについて待っていた。しかし、これでは後ろにつくことは不可能。後続車もやってくる始末。仕方なく、これまで案内してくれたバスを追い越すことに。

 まずい。道案内が消えてしまった。どこかに止まってバスを待とうにも、止まれるような道路状況じゃない。少し進むと左に分岐する道が。どっちだ? 一瞬迷うが、信号名は、「若葉台団地入口」。バスが団地へ行かない訳が無い! という勝手な固定概念から、これを左折。少し進むと、バックミラー越しに、さきほどのバスがこちらに曲がってくることを確認。どうやら左折で正解だったようだ。
 安心したのも束の間、今度はY字路のお出まし。道幅的には左右どちらも同じくらい。信号名は「青葉台南側」。これは分からん。信号も青で考える暇は無し。勘で左折したものの、雰囲気的に違ったと悟り、すぐに右折・・・したらさらに雰囲気的に違うような気がした。ところがバス停を発見。これはこの道で合っている可能性がある。


 しばらく進み、道が大きく左にカーブしたところで、急にバスターミナルが出現した! そしてその中に、探し求めていたキュービックが待機していたのだ!


 やっと見つけた! やっと追い付いた! 嬉しさが現れる一方、付近一帯に車を止められる場所が無いことに気付く。最後の最後で・・・。
 うろうろしていると、ヨーカドーの駐車場を発見! 金取られるとかそういうことはもう関係なしに、ここに車を入れる。ラッキーなことに、買い物金額に関わらず、最初の2時間は無料だそうだ。

 車を止めてバスターミナルへ。ようやくキュービックに会えた!


 微妙な長旅もここで終わり、車を出発させる。来た道を戻り、先ほどのY地路、青葉台南側交差点で信号待ちをしていると、例のキュービックが、Y字路を自分から見て左から右へ颯爽と駆け抜けて行った。

 いたよおい!

 何の縁でしょう。すぐに信号が変わり、キュービックの真後ろにつくことができました。ここで、青葉台中央に行くまで自分が通ったルートと、バス路線が違ったことが判明。しかしそのお陰で、再びキュービックを見ることが出来た訳で。
 面白半分でキュービックの後をつけ、亀甲山交差点で、今度こそお別れ。キュービックは左折。自分は直進し、保土ヶ谷バイパスへ。

 
 なんやかんやで2回もキュービックと巡り合い、楽しい追っかけドライブでした。キュービックは2011年4月に車検が切れるそうで、卒研や就職準備、卒業旅行などを考えると、会うことはもう無いかもしれません。でも、だからこそ2回も会えたのかな? 今後も定期的に到着予測を除き、横浜駅に顔を出す便に入っているようであれば、狙って撮影に行ってみたいと思います。


 ・・・なんてことを保土ヶ谷バイパスに合流して考えていたら、少し進んだ、バイパスを跨ぐ陸橋を、キュービックがオーバークロス。

 3回、会えましたね(笑)