ベン・トー2 ザンギ弁当295円:アサウラ

佐藤洋は槍水仙に好意を抱いている。にも関わらず佐藤洋は著莪あやめと抱き合うのである。幼い頃のこととはいえ、二人は風呂の中やベッドの中でも抱き合っていたという。行動だけ見れば完全にバカップルだ。しかし佐藤洋と著莪あやめはカップルではない。佐藤洋にとって著莪あやめと抱き合うことは特別に意識するまでもない日常である。そこに彼の精神は関与しない、著莪あやめとは肉体だけの関係なのである。佐藤洋は、著莪あやめと抱き合いながら、同時に槍水仙を見ている。なんと美しい三角関係だろう。三人の中で唯一、自身の好意に自覚的である著莪あやめは、佐藤洋の肉体を自分が独占していることにかすかな満足感を覚え、そして精神を支配していないことに嫉妬するのである。そんな彼女に萌えずして誰に萌えるというのか。
というわけで表紙の金髪眼鏡さんは佐藤くんのセフレ従姉の著莪あやめです。素晴らしいですね。
佐藤洋ってノリでテラ豚丼とか作っちゃいそうな感じのDQNだよなぁ。『アキカン!』の大地カケルと並ぶ、SD文庫のDQN主人公の双璧ではないかと思うんだけど、どうだろう。どうでもいいですけど。個人的には大好きですけど佐藤くんもカケルちゃんも。
そしてまた、この作品はグルメラノベでもある。過去にグルメラノベがなかったわけじゃないけど、まあ珍しいと思う。読めばお腹が空いてくる、というのは貴重な読書体験だし、読み終われば近所のスーパーに出かけたくなる、というのも非常に貴重な読書体験だ。どうか長く続いて欲しい。でもってたまには単発物の銃百合物を書いて欲しい。そう思わせる名作でござんす。