不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界:西尾維新

西尾維新の楽しいミステリ講座第四弾。今回のテーマはたぶん「見立て殺人」。でも今回のトリックは見立てとはあまり関係のない叙述トリック。挿絵を利用しているところが新しいのかどうか知らないけど*1、これまではちゃんとテーマに沿ったトリックを使ってたのに。さすがにパワーダウンは否めないよなぁ。
それよりなによりですね。ちょっと表紙を見てくださいよ。

これ見たら誰でも「激萌え貧乳眼鏡っ娘ヒャッホォォォイ!!!」って思うでしょ。TAGROさん良い仕事してるぅ!!!って。そう思ってしまった時点でこのトリックに騙されざるを得ないのが問題なんだよなぁ。と書くだけで勘のいい人には分かっちゃうくらいの単純な叙述トリックなんだけど。分かっちゃうんだけど騙される。というか騙されなきゃならない。それを否定することは許されないんだ。たとえ作品開始直後の最初の一文でこのトリックがバラされていたとしても俺は信じなかっただろう。…いや決してアンフェアだとかって糾弾するつもりじゃない。ただ悔しいんだ。まるで可愛い娘を人質に取られた気分だったよ。どこまで鬼畜なんだよ西尾維新
種明かしの直後にエピローグ突入という構成も残酷さを際立たせている。読者を立ち直らせる時間をまったく許さないのだ。「これはこれで萌えるよな」と思わせる余裕すら与えてくれない。そこまでやらなくたっていいじゃん。「萌えキャラ殺しの西尾維新」。まったく今回ほどその二つ名を実感したことはなかったよ…。
次はくろね子さんの中学生のときの話らしい。様刻くんが出てこなさそうな時点でかなり悲しいんだけど、しかし最終巻。最後に凄いのをお見舞いしてくれることに期待。

*1:乙一の「華歌」とか挿絵が有効利用されてた気がする