いつも心に剣を 1:十文字青

薔薇マリとは違ってオーソドックスなファンタジー風。いや魔女狩りに絡んでのどす黒い展開はファンタジーというよりはリアルか。どろり濃厚な心理描写もさすがで、カラー扉絵の爽やかさとはまったく異なる話が描かれる。そういうところはいつもどおりか。
妹に忠実だけどちょっと頭の足りないお兄ちゃんと、お姫様気質のわがまま妹ちゃん。家を飛び出して子どもだけで旅を続ける(義)兄妹、というか無謀な家出に挑戦中のガキども、みたいな感じに描かれている。ちょっと脇道に入ったら狼に襲われて死にかけたり、町に着いても宿屋に泊まれなかったり、そして魔女疑惑をかけられて捕まったり。世間の風は厳しいですな。でもなんかこう、「徹底的につらい目にあわせてやる」って感じではないし、二人ともひたむきに互いを想い続けているしで、言うほど暗くは感じなかったり。むしろ甘酸っぱい?
スロースターターな十文字青がここからどう話を組み立てていうのか気になるところ。