商品の向こうに見えるもの
スーパーやコンビニに並ぶ商品を手にとって、それを「買おう」と決心するときの最も一般的な理由は、
商品の価値>値段
と感じるということでしょう。
1000円の商品に1000円以上の価値があるなら買う価値があるし、その逆なら買わない場合によっては大小を決めにくて悩むこともありますが、最終的にはどちらかの判断を下していると思います。
しかし、人が商品の価値そのものだけで購入を決めているかというと、中にはそうではない場合もある。
例えば、品質はそれほど変わらなくても他人からみて見栄えのするブランド品を高い値段で購入したり、見栄を張って高いワインを購入したりするというような場合。さらに商品に抽選券やオマケが付いてきてその付加価値によって購入を決意する場合などがそうです。
これも大きな意味では商品価値と言えなくはないかも知れませんが、少なくとも商品本体の物質的な価値というわけではありません。
そして、MLMにおいて多くの会員が商品を購入する理由は、その商品を通してビジネスに参加出来るということ、そして「成功すればリッチになれるかもしれない」という希望です。
MLMの会員になっている人の中には、もちろん商品を購入したいというだけで登録している人もいます。
しかし、会社全体の売上の多くを支えているのは、ビジネスとしてそのMLMプログラムに参加しているメンバーによる購入でしょう。
小売が許可されているMLMではそれこそディストリビューターが「仕入れ」単位で大量に商品を購入すると、それが売上として本人のランクが上がったりもします。
つまり、MLMでない一般のビジネスと比較すると「商品そのものが欲しい」のとは違う動機で購入している割合が非常に高いわけです。
そういうビジネスが良いか悪いかについては、色々な意見があるでしょう。
ただし、購入する動機が射幸心だけなら、それは『崩壊するダウンライン』に書いたような収入減少のリスクを抱えた危険なビジネスになってしまうと思います。
これからMLMに参加してみようと考えている人は、どうか自分がその会社と何の利害関係もない消費者になったつもりで、商品を評価してみて下さい。
By MLM・ネットワークビジネスの真実
MLMでなぜか金遣いが荒くなる?
MLM・ネットワークビジネスに参加して商品を買う人の動機は人それぞれ。
消費者として商品を購入したいという人や、付き合いで仕方なく会員になったという人もいるかもしれません。
しかし、何といっても一番精力的に活動するのはビジネス目的、つまりお金を稼ぎたいと思って参加したメンバーでしょう。
「3人が3人をリクルート(勧誘)し続ければ、すぐにMLMで暮らしていけるようになる」
「5人が5人をリクルートし続ければ、毎月大金が手に入る」
こんな謳い文句に欲望を刺激された人々は、期待に胸を膨らませて会員登録をする訳です。
しかし、なぜかこの「ビジネスMLMメンバー」の中には、MLMに参加したとたんにお金の使い方が荒くなるタイプの人がいるようなのです。
私がMLMの活動をしていた時も、新しく参加した友人が会員登録をした数日後に、
「昨日、前から欲しいと思っていた家具を買っちゃったんだよ〜」
と楽しそうに言っていたので、
「へえ、そうなんだ。高かったの?」
と聞いたら、
「うん。ちょっと高くて迷ってたんだよね。でも、これから儲かると思ったらなんか気が大きくなっちゃってさあ^^」
なんて言って笑っていました。
ちなみにその人は会員登録していただけで、その時点でMLMによる収入は一円たりともありませんでした。
それどころか、自分で商品を購入していたので、ビジネスとしては経費だけ支払ったマイナスの状態です。
ただ儲け話を聞いて、それに脚を踏み入れただけの段階で、すぐにピラミッド式収入の「皮算用」をしてしまう・・・
人間の射幸心というのはなんともお調子者というか、都合よく出来ているものだなあと呆れてしまいます。
実を言うと私自身も実際に散財したりすることこそなかったものの、MLMに参加した当初「将来はこれで大金持ちになれるかもしれない」というような白昼夢に襲われた事がありますから「同じ穴のムジナ」と言えるでしょう。
そしてその後10年以上が経過した今、その彼も私も見事に挫折し、MLMから大きな収入を得ること無く今に至っております(笑)
これからMLMに参加するという方は、どうか「希望的観測」や「妄想」だけで財布のヒモを緩めてしまわないよう十分にお気をつけください。
By MLM・ネットワークビジネスの真実
古い友人からの久々の連絡は
ある日突然電話が鳴って、出てみると疎遠になってしまっている古い友人からの連絡だったりしたとき、あなたはそれをどんな要件だと思うでしょうか?
同窓会の通知?
共通の知り合いの訃報や結婚などのお知らせ?
それともやっぱり、MLM(ネットワークビジネス)への勧誘でしょうか(笑)
本サイト『MLM・ネットワークビジネスの真実』にも書きましたが、MLMはいかにして自分の下にたくさんのメンバーを入会させるかが勝負になりますから、その勧誘対象はすぐに声を掛けられる友人や知人だけに留まりません。
MLMにビジネスとして参加すると、まず初めに先輩ディストリビューターに指導されることは「リストを作りなさい」です。
つまり、すぐに思いつく友人や知人だけでなく、昔の友人やクラスメート、遠い親戚から時々話をする近所の人や店員さんまで、可能性のある人をとにかくリスト化する、言ってみれば営業マンの「見込み客リスト」のようなものを作るわけです。
そしてそれを元に、新米ディストリビューターはあなたのところに電話をかけてくるのです。「面白い話があるんだけど・・・」と。
私は以前、数年ぶりに旧友と会って話そうと飲み屋に誘い出したところ、快く応じてはくれたものの、後でこんな事を言われてしまいました。
「久しぶりに会えて楽しかった。でも初めは絶対、なんかの勧誘だって思った。(^皿^)会った瞬間にパンフレットとか差し出されるかと思ってたから、ただの飲みの誘いで安心したよ^^」
友人のコメントからも、
旧友からの突然の連絡→MLMの勧誘だった
という経験をしている方は、かなりの数に上ることが想像できます。
いや、もしかしたら、純粋に会いたいと思って声をかけても、場合によっては「なんか怪しい」と思われて断られる可能性だって無いとは言えないのです。
これだけ世知辛い世の中だと、久しぶりに旧友を誘い出すときは、
「勧誘目的じゃないから安心してね^^」
と断っておくべきなのかもしれませんね(笑)
By MLM・ネットワークビジネスの真実
海外旅行のパンフをチラ見せ作戦
以前に見せてもらったあるMLMの「勧誘マニュアル」的な資料に、とても面白い「作戦」が紹介されていたので紹介したいと思います。
MLMというのは大体の場合、怪しい商売だと思われているので、正面から
「一緒にネットワークビジネスをしよう!」
なんて言っても『MLMアレルギー』の記事にあるように、
「誰がマルチ商法なんかやるか!」
と一蹴されてしまうことでしょう。
そこで、考えられた手法の一つが「海外旅行のパンフレットを思わせぶりに見せる」という作戦です。
具体的な手順としては、
【1】勧誘する相手と待ち合わせをしたら、必ず相手よりも先に到着して、海外旅行のパンフレットを眺める(正確には眺めているフリをする)
【2】相手が到着したら、わざとギリギリで気づいたフリをして、さりげなくパンフレットを隠す。
【3】「何を隠したの?」と質問されたら、じらしながら少しずつ自分が面白いビジネスに参加していること、近いうちにまとまったお金が手に入って贅沢な旅行が出来そうだ、という話をする。
といった感じです。
確かに、人間というのは誰しも野次馬根性というか、人が隠そうとする物は見たいと思う願望があります。
そして自分の目の前にいる友人や知り合いが儲け話に首を突っ込んでいると知れば、その内容を詳しく知りたいという心理が働くでしょう。
勧誘のための手法にも色々ありますが、リクルート活動が上手な人は自分から詳しい説明をしないものです。
巧みな話術で相手の好奇心や射幸心を刺激して、
「それって何の話?」
「もうちょっと詳しく教えてよ」
という相手の質問をきっかけに勧誘をスタートするのが基本です。
そういう意味で「海外旅行のパンフをチラ見せ作戦」は実に狡猾で姑息な、場合によっては有効な作戦だと考えられます。
まあ、一つ大きな問題があるとすれば、海外旅行が出来るようなまとまったお金を得られそう、という話が大抵の場合はウソか希望的観測(別名:妄想)であるということでしょうか(笑)
By MLM・ネットワークビジネスの真実
暴走したMLMメンバーの話
『MLMが問題視される主な理由』の記事では、MLMが抱える大きな問題の一つとして、素人が安易にビジネスに参加してしまう可能性がある、ということを書きましたが、今回は分かりやすい例として管理人が実際に体験したエピソードをご紹介しましょう。
あるとき、管理人の友人の紹介で、ある人物が「一緒にビジネスをしたい」ということで仲間に入ってきました。以下、彼の名前を仮に「Y君」とさせていただきます。
このY君、とても素直な性格ではあるのですが、反面正直すぎるというか思い込みが強いと言うか、一旦何かを思いつくと周りの忠告も一切無視して突っ走る性格を持っていたのです。
そして、そのY君が参加して数週間後のある日、Y君は目を輝かせ、颯爽と私たちのミーティングの場に姿を現しました。
Y君「見てください。自作のチラシを作ったんですよ!」
と目を輝かせて手渡された紙には、家庭用のワープロで印刷されたと思われるちょっとしたイラストと、一緒にMLMをやりましょう!的な文章が掲載されています。
しかし、悲しいかな彼は文章を書くことがあまり得意ではなかったため、そのチラシは義務教育で習うような「てにをは」すらおかしな状態。主語の無い文も混じっていて、関係者が読まない限り何を言いたいのかサッパリわからないというクオリティでした。
しかもチラシには、私たちの連絡先までバッチリ掲載されています。これでは悪評を広めるためにチラシを撒くことになりかねません(笑)
さらに悪いことに、管理人が参加していたMLMはクチコミだけで紹介・販売を行うのが基本で、チラシ配りなどの宣伝活動が規約上「禁止事項」とされていたのです。
チラシ配布が公になれば、連絡先が掲載されているメンバーは確実に処分の対象になるでしょう。
「Y君、ありがとう。こういう前向きな活動はすばらしいと思うよ。ただ、私たちが契約しているの会社では宣伝活動が禁止されてるから、これはチラシとして配るんじゃなくて知り合いに手渡しという形で活用してくれないかな?」
仲間とY君を傷つけないようにやんわりと言ってみたのですが、Y君はすっかりヘソを曲げて、
「せっかく作ったんですよ!?チラシくらい配ったっていいじゃないですか!」
と怒り出す始末。
結局Y君が完全にイジケることでチラシ計画は立ち消えとなり、私たちは事無きを得たのですが、まさに「素人ビジネス」のリスクを実感した出来事でした。
By MLM・ネットワークビジネスの真実
SFが商品になってしまうMLM
私が以前MLMのディストリビューター(勧誘・販売活動を行うメンバー)をしていたころ、スゴ腕との呼び声が高い先輩ディストリビューターから、「面白い話がある」と切り出されました。
興味津々で話を聞いてみると、今まで特定の会社のディストリビューターとして働いていたその先輩が「新しいMLMの会社を立ち上げた」というではありませんか。
先輩の話によると、扱っている商品は疲労回復を促進したり、その他もろもろの体に良い効果が期待できる金属製の器具(アクセサリー類)とのこと。
見るとその先輩自身も、銀色のブレスレットを腕にはめていました。
しきりに「スゴイ効果がある!」
と熱っぽく語る先輩。
しかし、ひとしきりの熱弁の後に私が
「画期的な商品ですね、どんな原理なんですか?」
と聞いたところ、帰ってきた答えは驚くべきものでした。
「このブレスレットはね。タキオン粒子の力で効果を発揮するんだよっ!」
タキオン粒子というのは「光よりも速い」と定義されている物質で、SF小説などには登場するものの、現代科学から見れば「想像上の物質」以外の何物でもありません。
「今までは、宇宙で光が一番速いって言われてたよね?でも実は違うんだ。つい数ヶ月前に有名な科学者がこのタキオン粒子を発見して、それで・・・」
本心では、
「そんなもんあるわけ無いじゃないですかwww、発見されたら世界がひっくり返りますよ」
と思っていたのですが、目を輝かせて話す先輩に対して、とてもそんな冷めた指摘は出来ませんでした。
先輩の人柄を考慮する限り、恐らく私たちを騙そうとしたのではなく、先輩自身が誰かから聞いた話をそのまま信じてしまっていたのだと思います。
ちなみに10年たった今、先輩が「口コミでどんどん商品が売れる」といったその商品も、立ち上げた会社も、ネット検索で名前がヒットしてくる事は全くありません。
『MLMは宗教じゃない』という記事を書いた事がありますが、人間は自分が信じたいものを妄信的に信じてしまう事が時々あります。
そしてMLMはお金が絡む分野だけにそういったことが起こりやすいから恐ろしいのです・・・
By MLM・ネットワークビジネスの真実
「掛け値あり」のMLM
「掛け値なしに素晴らしい」
なんていう表現をすることがよくありますが、「掛け値」の正体がなんなのかを知っている人は意外と少ないようです。
掛け値、というのは簡単に言うと本来売ろうと思っている値段よりも、わざと高い値段を付けること。
たとえば、本当は5000円で売ろうと思っているものに10000円の値札を付けておいて、
「お客さんだけ特別に半額にしますよ!」
なんて言って販売すれば、この10000円が掛け値ということになります。
厳密に言えばこれは「二重価格の表示」ということになり違法行為ですが、ア○横なんかでは掛け値から大幅に割り引いて売る、という商売はよく行われているみたいです。
MLMの商品価格も、この掛け値に近いものがよくあります。
例えば、大量に購入すると4割、5割と割引される商品がそうです。
本来、原材料にお金をかけている商品を半額にしたりすれば、たとえ原価は確保できても会社の利益はほとんど無いでしょう。
にも関わらず大量の商品を半額かそれに近い値段でディストリビュータに販売しているのは、本来の小売価格が掛け値に近い意味を持っているからだと考えられます。
『割引購入で在庫の山』
にも書きましたが、多くのディストリビューターが「半額になるなら・・・」
と無理をして大量購入してしまうのも、掛け値の魔力と言えるかもしれません。
最終的に売れ残ってしまったら、仕入れ価格が何円だろうと損失にしかならないんですけどね^^;
By MLM・ネットワークビジネスの真実