ふくろうの河


ロベルト・アンリコ監督の処女作。カンヌ映画祭の短編部門で賞をとっている。この映画、前から見てみたかったが2003年にDVD化され、購入した。全編まるでサイレント映画のようなモノクロだし。森の中をさまよい歩くシーンが多く、初めて見た時はオブニバスとは思わなかった。何らかの関連性を持った1つのお話なのかと。ネットの解説を読んで納得。3つの短編でできているらしい。兵士の話と、双子の子供の話と、絞首刑となる男の。音楽がフランソワ・ド・ルーベが担当していたら、もっと素晴らしくなっていたことと思う。アンリコ監督が最初に撮った映画がこの映画ということが、実に彼の主張を物語っているといえよう。この映画のテーマは「反戦」戦争(暴力)に対する怒り、自由を束縛するものへの抗議といったテーマであることは明確だ。その後作られた彼の作品にも、あの「冒険者たち」でさえ、アフリカでの戦争のシーンがありそこにも反戦の思想がわずかではあるが見られる。もちろん「追想」にいたってはまさにずばりその反戦への怒りを直接ぶつけた作品だ。そういう意味でも、彼の処女作にふさわしい。A
1961年 ロベール・アンリコ監督 フランス映画