得意の二枚舌 石原慎太郎候補の姿勢

3月25日に「原発を欠いては日本経済は成り立たない」「私は依然として原発推進論者」と発言していた石原慎太郎候補が、「候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会」のアンケートに回答しました。
http://energy-policy.net/index.php#answer

その回答を見て、驚きました。
なんと、「原子力発電を維持するか/転換すべきか」の質問に対して無回答。
そしてコメントを以下のように残しました。

 現在日本の電力供給は約3割を原子力発電に頼っている。原子力発電所の立地や管理の問題など、反省し改善することはもちろんだが、現在の電力消費を前提とした産業構造や日本人の生活様式の根本体質が変わらない以上、単純に、今回の事故をもって、原子力全てを否定することだけでは解決しない。まず、政府がリーダーシップをとり、今後の日本の社会構造のあり方について考えていかねばならない。
 いずれにせよ観念論や感情論に流されることなく現実を直視する姿勢が大切である。

なんという二枚舌でしょう。
3月25日には「原発を欠いては日本経済は成り立たない」と今までの社会構造の変化を全く認めない発言をしていたのに、「今後の日本の社会構造のあり方について考えていかねばならない」と平気な顔でまったく逆のことを述べています。

石原候補はこれまでの選挙でも、選挙期間中は耳ざわりのよい発言をし、当選した途端に暴言、妄言を繰り返してきました。もう、誰もだまされません。

経済界:日本経団連会長 米倉弘昌会長、日立製作所の中西宏明社長

日本経団連会長 米倉弘昌会長

ウォールストリートジャーナル日本版
【インタビュー】東電は甘くはなかった=経団連の米倉会長
http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_217459

WSJ:東電は甘かった?

米倉氏:甘かったということは絶対にない。要するにあれは国の安全基準というのがあって、それに基づき設計されているはずだ。恐らく、それよりも何十倍の安全ファクターを入れてやっている。東電は全然、甘くはない。

米倉氏:見直すことになるのだろう。原発の今の問題がどういうことで生じたのか、徹底的に解明して、再発防止の手を打っていくべきだろう。

 日本は化石燃料のエネルギー源がもはや国内にない。このため、原油を輸入し、LNG(液化天然ガス)を輸入して発電をする。それよりもCO2を考えると、原子力が一番いいのではないかというように考えていた。

 やはり、国民の信頼を回復するにはかなり時間が必要だ。むしろ、原因を徹底的に解明して、安全性を確保して、原子力というものが必要だということを国民に訴え、経済性とCO2、あるいは安全ということをバランスのとれた形でやっていくべきだと思う。

WSJ:必ずしも今までの計画を全体的に見直すということではないのか?

米倉氏:現在、9つほどの原発計画があると思うが、これについても(今の問題の)原因を解明し、安全性を計画に反映すれば、もっと安全な原発になるのではないか。

WSJ:延期か廃止ということではないのか?

米倉氏:廃止するという必要はないと思う。


東電の擁護については、もはや妄言のレベルです。原発推進を行ってきた学者ですら「安全設計が甘かった」と認めています。
日本最大の企業団体のトップがこの認識で「これからはより安全な原発を作れる」と言い張る姿は、恐ろしいを通り越して滑稽ですらあります。

このインタビューの英語版では、米倉氏の姿勢を辛辣に表現をしています。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703280904576246682948294132.html

Mr. Yonekura said that schedule may be postponed while the cause of the Daiichi crisis is investigated and new supplemental safety measures are implemented at existing plants. But he scoffed at the notion of abandoning those longer-term goals to promote nuclear power

訳:「米倉氏はこういう。福島の事故が原因が調査され、補足的な新しい安全基準が現行の原発に定められるだろうから、(原発建設の)スケジュールは延びるかもしれない、と。だが、原子力推進のための長期的目標を放棄することについては嘲笑(scoff)した

米倉会長の態度に反省の色がないことを「嘲笑」という言葉で表しています。


(4/12記事追加)
経団連会長、「原発賠償は国の責任」 東電国有化論は一蹴
記事 msn産経ニュース 2011.4.11 19:01
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110411/biz11041119000023-n1.htm

 日本経団連米倉弘昌会長は11日の会見で、数兆円規模にのぼるとみられる福島第1原発の賠償責任について、「原子力損害賠償法には大規模な天災や内乱による事故は国が補償するとある。国が全面的に支援しなくてはいけないのは当然だ」と強調した。

 米倉会長は原子力損賠法が想定した「大規模な天災」について「関東大震災の3倍規模」とした法律制定時の国会答弁を例示。そのうえで、「今回は30倍」であるとし、国の全面支援は当然との認識を示した。

 東電の経営体制については、原子力の安定供給体制を維持するため「法律に基づき国は東電を民間事業者として全面支援すべきだ」と語り、政府内の一部で浮上している東京電力の国有化論を一蹴(いっしゅう)した。また、福島第1原発の損傷についても「原発は国によって安全基準が定められ、設計、建設されている」と指摘、国の安全基準が甘かったとの認識を示した。

 一方、「政治家が国有化という言葉を使っただけで、どれだけ東電の株価が下落したか」と非難。海外にも広がっている放射能風評被害についても、「もっと正しい情報を発信するとともに、場合によってはWTO世界貿易機関)に提訴すべきだ」と語った。

終始、東電の経済的メリットだけを求めて、事故を起こした社会的責任を全く考慮しようとしない妄言です。この期に及んで東電の株価の下落を政治家のせいにしたり、WTOに提訴しようとする感覚は、被災者を踏みにじるだけではありません。日本の企業連合のトップがこんな発言をしていては、日本が「世界のならず者」とみなされる日も近いでしょう。



日立製作所 中西宏明社長
原発メーカーの戦略は頓挫の危機 各国で見直し機運高まる」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110406/biz11040618280037-n1.htm

「米国での需要も落ち込んでおり計画の見直しは当然だが、原発をやめることは毛頭考えていない」。日立の中西社長は原子力事業からの撤退こそ否定するものの、経営戦略は根本から見直しを迫られそうだ。

経営者としては突然の方針転換は難しいかもしれません。でも、原子力固執して不買運動などが起きたら、原子力推進を撤回する以上の打撃を受けることになるのではないでしょうか。

2011年04月06日のツイート