ふるさと納税に関する現況調査

総務省が公表した「平成28年ふるさと納税に関する現況調査(税額控除の実績等)について」
 平成28年度(平成27年1月から12月が対象期間)のふるさと納税額は前年度の341億1,000万円を大きく上回って1,470億円に、ふるさと納税の適用者数は前年度の43万5,700人を大きく上回って129万5,300人にそれぞれ拡大した。
 ふるさと納税は寄附額から2,000円を差し引いた額が住民税などから控除される制度で、寄附を通じて特定の地域を応援できる。また、納税者に返礼品を渡す自治体も多いことから、その人気は年々高まっている。その一方で高額な返礼品を用意して寄附を募る自治体も多く、本来の目的から外れているとの指摘もあった。
 そこで総務省は4月1日付で各都道府県知事に対して通知を出し、返礼品の見直しを求めた。具体的には寄附額に対する返礼品の割合が3割を超えないよう求めたほか、プリペイドカードや商品券、資産性の高い特産品など、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品を用意しない、返礼品が寄附の対価として用意していると誤解されないよう、返礼品の価格や寄附額に対する割合を表示しないことなども求めている。
 ふるさと納税の経験の有無を聞いたところ11.0%が「ある」と回答し、その平均額は3万2,273円で、最も多かった金額は1万円(37.8%)だった。ふるさと納税経験者に寄附をした理由を複数回答で聞くと、66.6%が「返礼品に魅力を感じて」と回答し、災害復興や観光などに「寄附金を役立ててほしいと思った」(15.1%)や「自分の出身地・地元」「住んだことがあるなどゆかりのある自治体だった」(9.0%)を上回った。
 全回答者にふるさと納税に対する今後の意向を聞くと、48.7%が「今後も続けたい・したい」(どちらかというとを含む)と前向きに考えており、その理由には「返戻品が魅力的」「税金の使い道が分かりやすい」「復興支援になる」「地元に貢献したい」などがあった。その一方で51.3%が「続けたくない・したくない」(どちらかというとを含む)と回答し、その理由には「手続きが面倒」「返礼品目当ての納税になっていて本末転倒」「今後はお得感が無くなりそう」「居住地の税を減らしたくない」「出身地に住んでいるため意味がない」などがあった。
 ふるさと納税で寄せられた寄附金は、子育てや教育、まちづくり、災害復興などに活用されて地域の活性化に役立っている。一方で納税者もふるさと納税を前向きに捉えている人も多い。今回の通知によって、本来の趣旨に沿った運用が行われることが期待される。