【読んだ】筒井淳也『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)
■20世紀は経済活動を「家」から分離すると同時に、親密性については「夫・妻・子」すなわち「家庭」に閉じ込めたと。で、フェミニズム的な公的領域/私的領域の議論とかとは別に、公正の原理ってのは原理的に親密性と噛み合わせが悪く、どうしても不平等は生じるよね、と。典型的なのが同類婚で、傾向として所得が近い人同士がくっつきやすく、世帯間格差が広がってると。所得が高い世帯は家事も介護も外部にアウトソースできるけど、所得が低い世帯はむしろ家庭をセーフティネットとするべく結婚するのが現状と(厳しい)。

■家族「への」疎外が生じてる事はやっぱ問題視してて、その要因として税制やら景気やら人口動態があると。明言はしてないけど今の保守派の「家族主義」とかはやっぱあかんとしてるのは明白なんだが、しかし構造的には結構手詰まりな感じある。現在家族が担ってる機能を社会に広げる必要性は訴えつつ、北欧型や北米型のケアの現状も紹介するんだが、前著でも主張されてたように日本でそのままそれをやるのは無理やで、と。

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)