The1000things


怒涛のクリスマスシーズンが終了した。11月にイルミネーションがライトアップされると同時に六本木のビルの裏庭には人が溢れかえり、週末ともなると一体どこから来るのかという数の観光客たちでてんやわんやで、まるで渋谷スクランブル交差点のようになるのだが、今年は凄かった。カオス。給料日とイブと金曜日が重なって26日まで休みだったから、いつもなら24日が一番人が来るのだけど今回は22日から25日にかけて毎日右肩あがりに狂ったように忙しくなった。おかげで26日の夕方までには売るものがなんにも無くなってしまい、コーヒーだけの店となって比較的ラクになったくらいだ。アメリカ人の常連に「なんでクリスチャンでもないのにこんなになるのか?」と問われて「日本人はサンタクロースのファンだから、クリスマスを愛してやまないのだ」と答えたことがあったがまさに阪神戦優勝にも似た浮かれ模様であった。この時期訪れるお客は少しでも楽しもうという気満々で来るので、いつもの常連さんたちのように「1円でも安く!1秒でも早く!」みたいな引き締まり方はしておらず、こちらが勧めるままにいくらでも買ってくれる。一日の終わりにレジの精算ボタンを押すとその日の売り上げや客数などが記入されたレポートが出るが、一番忙しかった25日のアイテム数(その日に売った物の数)が1300点で、この日ほとんど一日レジを担当していた自分は、じゃあ1300個のものを売り上げたのだなと感心した。千って数はひとりが一日にやることではなかなか生まれないと思ったから。最後にはもう何いってんだか自分でもわかんなくなってスタッフに向かって「コンバンワー!!」とかお客に向かって「ドリンク入りマース!!」とか叫んでいた。
たとえクリスチャンであろうとなかろうと、誰かと過ごしたいとか、なにかをしたいとか、残したいとか、クリスマスが人生の動機付けになるのなら、悪くないと思う。約1分に一組の割合で来ていたお客さんたちの顔を、レジスターのこっち側から実はしげしげと眺めている。こんな短い間のやりとりでも、気持ちが通じ合っているのかどうかってこんなにはっきりと見えてしまうものだなと少しこわくもなりながら、コーヒーを手渡す。