おめでとーういちがつ


正月休みは元旦だけであと仕事。でも母といぬくんの家に泊まって雑煮など食べ正月気分は堪能する。

なにしろ普段テレビがないため、初めてテレビ見た国の人くらい夢中で見てしまうのだが、元旦の昼に例の、ベルリン動物園のクヌート、人工飼育の白熊の子供とその飼育係トーマスの、ドキュメンタリー映画をやっていて、魂を思い切り吸い取られる。

ベルリンっ子はもちろんのこと、世界中の人達から凝視されたこのおそろしく可愛らしい雄の白熊は、2011年3月19日に、大勢の観客の見ている前で、「ひなたぼっこしていた時に急にびくっと体を動かし、何度かぐるぐると回ってから後ろ向きで池に落ちて死んだ(朝日新聞)」

3月19日といえば福島に戦車投入してる頃だろうか。とにかくそのニュースは震災と原発事故のニュースにまじって、小さく、googleのトップページのトピックになってて、19日当日、自分はレジ横のPCで何度も何度も確かめてしまった。しかもクヌートの母だった飼育係はその3年前に心筋梗塞で突然死している。だからこの美しいドキュメンタリーが美しければ美しいほど、現状をしったどんな人の心臓をも瞬時に潰すような武器に変化したのかと、ここに映ってる愛情物語の主人公たちはふたりとももういないのに映像だけが。こんなにこんななの。喪失というダメージは強烈で深くて、対応がうまくできなくてフリーズ。

かわいかったかわいかったクヌートとひげの飼育係と3月11日、それを思い出す2012年の自分が針と糸とでひとつにちゃんとつながっていけますように。あけましておめでとうって世界にいう。生き延びていることがたまたまできていることを。