生命がまた他の生命を探していく
「天文学者でSF作家が朗読する宇宙「暗闇を恐れることはない その先には生命を探す旅があるのだから」(動画)」(ギズモード・ジャパン)
→ http://www.gizmodo.jp/2011/02/post_8548.html
この宇宙という闇の中へ我々は他の生命を求めるのだ。
米国の天文学者でSF作家でもあるカール・セーガン氏が、暗闇と未知なる生命をたどるということについて書き下ろし、自ら朗読しています。それもNASAの映像にのせて。
子供の時、暗闇は恐ろしいものだった。暗闇の中には何かがいる、その何かがなんであるかはわからない。が、皮肉なことに実は我々は暗闇の中に生きている。今いるこの地から外にでれば、どの方向に向かっても一瞬の光の後にあるのは暗闇である。完全なる闇に我々は囲まれているのだ。
大人になっても、暗闇の恐ろしさは薄れない。ある人は言うだろう、その闇にあまり近づかないでおこう、と。その闇の中に何が潜んでいるのか探るのはやめよう、知らない方がいいだろう、と。
宇宙には4千億もの惑星が存在している、その中で私たちの太陽は唯一の禁断の星だと言うのだろうか?
そうかもしれない。もしかしたら私達の持つ生命や知性は実にレアなケースなのかもしれない。いや、それとももしかしたら文明というものは他のどこかの地でも頻繁に起こっていることなのかもしれない。そして自らを滅ぼしているのかもしれない。それとも、この広い宇宙のどこかでは我々の世界と似たような世界がまさに今存在しているというのだろうか。そしてその土地で暮らす人々は私たちと同じように、この暗闇には何が潜んでいるのだろうかという想いにふけっているのかもしれない。
命とは他と比較することでよりわかりやすくなるものである。ゆえに何千という種を調べるのである。我々の時代で、太陽系を渡りに他の星へロケットを飛ばすことができた。それはこれからも続いていく、生命がまた他の生命を探していくのだ。
新しい世界を探るとき、科学者はそこに何があってもおかしくないと考える。見つかるものが初めからわかっているなら、わざわざ出かけてゆくことはない。これから人類が火星をはじめ近隣の魅力的な世界へ向かえば、思いもよらぬものに──神話的と言えるものにさえ──出会うかもしれない。いや、その可能性の方が高いだろう。
── カール・セーガン(『カール・セーガン 科学と悪霊を語る』)
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