ナマステじじの旅話(32話)

  
チェンマイ滞在記(7)
変り種乗り物のお話(1)ツクツク


これまでソンテウについて述べてきたが今号からは、その他の「変り種乗り物」の紹介をしたい。

まずは、ソンテウに次いで市民に親しまれているツクツクのはなし。
ツクツクは、ガイドブックにはトゥクトゥクとなっているが、わざわざそんな持って回った書き方をしなくても、ツクツク(突く突く)で結構通じる。オートバイ式のエンジンだから走行中結構バリバリとうるさい排気音を出すし排気ガスを撒き散らして走る。アイドリング中はトクトクというような音を出しているからそれからツクツクになったのではないか。
昔、日本でも戦後の1時期、昭和20年代にオート3輪が活躍した時代があり、マツダとかメグロと言うメーカーの車であったが、これが大活躍をしていた。その頃は、物を運ぶために作られていたから、後ろは、屋根無しの荷台であったが、ツクツクはその後ろの席を改造して座席を設け、屋根を付けただけのものである。座席は大人2人が座れば一杯であるが無理やり3人座っているのもよく見かける。
周囲は囲われていないから、ぴゅーぴゅー風は吹き込む。雨が強い時はご遠慮申し上げたい。
正確な数は分からないが、タイの人にその筋にあたって調べてもらったら、市内に1000台から2000台走っているとのことであった。1000台と2000台では倍も違うが、そのアバウトさがいかにもタイらしい。
料金は、2キロメートルまで30バーツ(90円)、3から5キロメートルが40バーツ以上と、これもかなりアバウトで、その都度交渉して決めるようだ。2006年ごろよりガソリンの値上げなどのこともあって乗り物の料金が高騰しているらしいから現在はもっと高くなっていることであろう。
どうも、ツクツクのドライバーは、ソンテウのドライバーに比べると雲助的な連中が多いような気がする。外人とみるとほとんどの奴が吹っかけてくる。
そんな車には乗らねーよ、とプイと拒否すればいいのだが、他に、ソンテウもツクツクも目に入らないし、しばらく次にくるのを待つよりは、「10バーツ20バーツ高くても円にすりゃ30円とか60円ぐらいだ。えい、乗っちゃえ」と、こちらが負けて乗ることが多い。それが結局、日本人が甘く見られるという悪循環につながる、せっかちで金持ち日本人の悪弊だ。もっとも考え方の違いで「施してやる」というつもりならそれぐらいのことならいいさ、というご仁もいらっしゃる。
目的地に直行してくれる便利さはあるが、私は、なるべくソンテウを利用してツクツクには乗らないことにしている。