追い掛けた,叶わぬ願い
大分県の某有名ポイントに日帰り採集.
自慢ではないが,ぼくのいる研究室は空気が澱んでいる.悪い気が充満している.
だから,ぼくはしょっちゅう外の空気を吸いにいく.そうすると,教員が「また成田くんはサボりか」と誤解する.ぼくへの風当たりが強くなる.ますます研究室にいづらくなる.そうした負のスパイラルが5月の時点でできあがっていた.
あああ,何もかも忘れて採集に行きたい.あ,いや,行けばいいのか.
というわけで,急な思い付きで大分へ採集に行くことに(思い付きで行動するのはいつものことだ).
浅学にして,この時期は何を狙えばいいのか分からなかったが,少し調べると,この時期はミズキの花が咲いていて,各種訪花性のカミキリが採れるようだった.
九州で花に期待することは愚かであるけど,まあやるしかない.ほかに何か採りたいものがあったわけでもないし.うまくいけばフタコブルリハナカミキリとか採れるみたいだった.うまくいけば.
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某氏「九州パキタ?あぁあれね,一回採ったけど模様が気持ち悪かったから捨てたよ」
ジリリリリリ.
うわあなんだ夢か……変な夢だったな.意味がさっぱり分からなかった…….変な目覚めだ.
さて,出発しよう.いい天気だ.たぶん今頃はミズキの花にカミキリがぼこぼこくっついているに違いない.
妙な妄想をしながら高速道路をひた走る.途中,SAでご飯を買った.節約志向カロリーメイトだ.
ふと,SAの脇にカナメモチが植栽されているのに気が付いた.もしかしたらヤツがいるかも.
すかさず葉裏をチェック.
食痕が……ある!
あ,いたいた.手でつかもうか.
ポロッ
…….
対馬の時に何も学習してないな.
今度は網を手に持って探す.あ,いたいた.
ルリカミキリBacchisa(Bacchisa) fortunei japonica (Gahan,1901).都市部に多いカミキリだ.なかなかおしゃれじゃないか.
はい道草は終了!
高速道路を駆け抜け,ヘアピンカープの連続にひいひい言いながら無事に目的地点に辿り着いた.
んが,,,
道路わきのミズキが咲いてねえ.
なんてこったい.
万事休すといった感じ.
しかし,なんかショボイ花にハナムグリが群がっているのを見つけた.
これです.
いかにも虫はこないといった花だけど……だめもとで掬ったところカミキリやアオハムダマがそこそこ入った.
でも,やっぱり良い虫は来ないようだ.
道路沿いは諦め,山を登ることにする.なんと山の中のミズキは咲いていた!
んが,,,,
この山はいかんせん人が多く,網でも出したものなら砂糖に群がるアリのごとく好奇心をむき出しにした醜い人間どもから総攻撃を受けるであろう.
泣く泣く花を見なかったふりをする.
悔し紛れに何か来ていないか目視で確認するが,チャイロヒメハナくらいだった.
その後もずんずん登る.途中,登山道から外れたところにミズキが咲いているのを見つけた.ここなら網を出しても大丈夫かもしれない.
こいつを,掬う!!!
…….
フタオビノミハナがそれこそごみのように入っただけだった.
それでもめげずにどんどん登る.いや,何か目的があったわけではないがとりあえず登るのだ.
昼からコブ.
途中,1分咲きの花に虫が群がっているのを見つけた.
これです.咲いてない?追記:写真で確認したらバッチリ咲いてますね.
モモグロハナカミキリと思ったけど,モモグロハナって花に来ないよね.なんだこいつ.ピドニーか.
たぶんオオヒメハナカミキリ(2015/May/23)
他のめぼしいやつはカラカネハナくらい?しょぼ…….
何かいねえかなあと思いつつ来たかったところまで登った.いや,特に何かあるわけでもない.ただなんとなく来たかっただけだ.
おおぞうさんこんにちは.ばいばい.
やっぱり何もないので下山する.
昼からコブ〜♪
るりひらたむしまでいた.一部に大人気,るりひらたむし.
下を見ればトラフコメツキ.すごくどうでもいいですけど,ぼくトラフコメツキめっちゃ好きです.
下山はあっという間だ.日暮れまでまだまだ時間がある.どうしよっかな.
ばん!場所を変えました.
数年前まではモンクロベニが山ほどいたんだろうなあという環境.
ばん!
何もいませn……あっいました.
…….
日暮れまでまだ時間がある.どうしようかな.
あっそうだ,オニグルミノキモンカミキリを採ろう!
…….
…….
オニグルミがない…….
こんな馬鹿みたいなことをしている間に,もうじき日暮れという時間になったので,ヘッドライトを装備して登山だ!
キオビホソナガクチキ.模様はカッコイイけど普通種.
輝きを憎んでる奥村さん.
…….
はい.
夜見回りはパッとしませんでした.
これにて今回は終了です.いや,ぬるぬるのぬっるい採集でしたねえ.
(余談)
夜見回りの最中,ライトを付けてない人間がヤブの中からこっちを伺っていたのが地味に怖かった.あれは見間違いだったのか,それとも…….