Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

「嵐」の余波

夢を見た。沢山見すぎて思い出せないくらい。
ただ、薄暗い建物で子供たちの世話をしている。
病院の中なのか、学校なのか。
ああ、授業参観の名残りでこんな夢を見ているのかも、
と思いながら夢は続く。どうやら、出かけていくよう。


梨狩りに行くのだという。(この季節に?)
正月明けに愛宕梨を食べた美味しさの名残り?
ああ、車で送っていかなければと思っていると、
娘も他の子供たちも、近道があるから歩いていくという。
追いつこうと思っても、私はなかなか追いつけない。
2時間も歩けば十津川温泉だという。そんな馬鹿な。
夢の中では、あっという間に子供たちは遠くへ行ってしまう。


そして、楽しそうに梨や葡萄狩りをしている。
遠めにエメラルドグリーンの輝き。
あともう少しと思いながら、その場に行けない私。
楽しそうな声が聞こえ、向こうに見えているというのに。
ああ、何ともどかしいこの気持ち。
どうにかしたい・・・と思いながら、目が覚める。


一部分だけが鮮やかで、その他がぼんやり霞む
不思議な夢の顛末。子供達のところへ行けない私。
車なのに、先に歩いていった子供たちに追いつけない私。
何だか意味深、何て意味深、なんたって意味深・・・。

ベスト・オブ・サティ

ベスト・オブ・サティ

旅の遠近

旅の遠近

ロールプレイ、グループ・カウンセリング。
メンバーが話し過ぎて、場を手放しそうになるリーダー。
メンバーの一語に動揺し、玉突き反応を起こするグループ。
事例の中で妙に気になる「嵐」という言葉。
皆さん、「嵐」と聞いて一体何を連想します?


野分、台風、大風、暴風雨でもなく、「嵐」
世代が世代のせいか、ヒーローを連想したり、
「吹けよ風、呼べよ嵐」のフレーズ・音楽が蘇る私。
基本、台風の被害にあうのは嫌だけれど、
嵐と聞くと、少々停電の時のようにわくわくする感覚。
微かに禍々しいものを予感しながらも、何かを期待してしまう。
それが私の受けとめ方なのですが。


「嵐」に過敏にマイナーに反応する場合もあるようで。
各々受け止めるイメージが異なるとはいえ、それは「嵐」
天候の急変、激変、雨風という困難、などと連想する方も。
面白いのは「嵐」に対するイメージもさりながら、
「嵐」をどうにかしなければ、という問題解決志向に走る人。
「嵐」が来るなら来るがいいさと、ひとまず受け止める人。


「嵐」のイメージから来る「変化」への対応を先取りして、
良い方への変化を焦って、アタフタ動揺する人。
「嵐」以前と以後の落差を慮って、あれこれ悩む人。
どうやら人間というものは、他人のイメージから生み出される
言葉一つに対しても、過剰に反応し防護壁ならぬ危機回避、
自分にとって受け入れ易いイメージの改編・改竄を
無意識のうちに迫るものらしい。


たった一つの単語から触発されるイメージ。
各々抱くのが異なるはずのイメージ。
たまたまある例として提示されたに過ぎないイメージに、
何故これほどのめりこんで翻弄されるのか、不思議なくらい。
しかし、これと同じような過剰反応に振り回されている自分。
そういう自分が日常生活当たり前の行動、日常茶飯事。
わかりきっているだけに、距離を置いて横から見ていると
自分の常日頃を見ているようで唖然としてしまう。


「死と再生」の象徴なんてユング的に分析しなくても、
言葉に喚起・連想されるイメージに取り付かれる状況、
何かしらどうにかしなくてはとグループに力が働いたり、
個人の心理状態に何らかのプレッシャーが働く状況、
何らかの物事をありのままに受け入れる事が難しい状況を
改めて目の当たりにすると、傾聴、アクティブリスニング、
当たり前の基本、受容というものが如何に困難なものか、実感。


目の前にいる人を、目の前に展開する事を、
ただ受け入れること、できる人として扱うこと、
否定せず、操作せず、いじらずに受け止めること。
この何と難しいこと。自分にとっても、仲間にとっても。


そして自分に求められる役割とできることとのギャップ、
実際に投げかけられるイメージとの隔たりに、困惑する。
できないことはできないし、わからないことはわからない。
それを、何か魔法の杖でも振れば解決できるように、
安易な解決を性急に望む人が多い、ということも、
相互に理解する前に、相互に無力感・徒労感を作り出す。


吹けよ風、呼べよ嵐。
風は吹いてくるもの、吹き過ぎていくもの。
嵐は吹きすさぶ、嵐は揺さぶる。
今日の私も、明日の私も。
そして私は嵐になり、嵐と共に地上を見下ろし、
風となり舞い上がり、雨と降り流れ行き・・・。


研修の本論から離れ、魂手箱に籠る。
玉手箱、魂手箱、私の心はどこかへ飛んでいく。
開けてはいけないはずの蓋を開けたように、
満玉も潮干玉も転がって行ってしまった。
私は嵐の余波の中に漂っている。
図らずも不本意ながら、どうしようもなくやるせないまま。

ベートーヴェン:交響曲第6番

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嵐が丘(初回限定盤)(DVD付)

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