大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

言葉と二丸


おしゃれ心のある長男二丸は、
私がいつもと違う服を着ているとすかさず褒めてくれる。
あるとき、自分もおしゃれしてくるーときびすを返した。

かっこ良く決めた服装に、プラレールのショルダーバッグ。
息子「何が入ってると思う?」
父「ミニカー?」
息子「違う」

取り出したのは、ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」。
やられた。これは確かにおしゃれだわ。

この本は彼のお気に入りで、3歳頃から読んでいる。
面白い言葉が出て来るところだけの拾い読みだけど、
気に入った箇所に付箋を貼ってもらい、今では自分で勝手に読む。

二丸は3歳になってからほとんど
自分でその日に着る服を決めている。
気候や目的にあまりに合っていない時だけ私がアドバイス

なるべく本人にまかせようと思いつつ、
あんまりなコーディネートのときはつい
「お母さんはこっちがいいと思うー」と言ってしまう。

息子「二丸はこっちがいいとおもうー」
母「それもまぁまぁいいね。でもこれが一番ぴったりと思うけどなー」
息子「…(少し考えて)それは一番ぴったり。これは0番ぴったり!」

言葉で負けると、私は笑って許してしまう。
英才教育のつもりではなく、二丸には私なりの
コミュニケーションとして胎児の時から絵本をお腹に向けて読んでいた。

生まれて来てからも、その続きという感じで最初から
じっと絵本を見て耳を傾ける赤ちゃんだった。

1歳8ヶ月頃、毎日読んでいた「うさこちゃん
シリーズを突然暗唱しはじめた。
いわゆる赤ちゃん言葉をほとんど話さず、いつも
正しい日本語をほぼ完成形で話始めた。

うさこちゃん暗唱の頃)

ほんとにご飯を食べるようにお話を食べていて、
寝る前のお話をせがむときに言い間違えて「おなかすいたー」
と言ったことがあるくらい(笑)。

最近はEテレの「日本語であそぼ」に出てきた「クラムボンは笑ったよ」の
フレーズを楽しそうにいつも歌っているので、元ネタを出してあげたら、
難解かと思われる「やまなし」に聞き入り、その宮沢賢治全集を
その日から読んで読んでとせがまれるようになった。

さすがに5歳児には難しいものが多いので、短いものから読んでいる。
セロ弾きのゴーシュ」は一晩分ずつ読めたのでやりやすかったけど、
長いのは私がギブアップ。自分のために、全集ではなくて1作ずつ
絵本になってるのを借りてこよう。


(移住したての頃)
移住したとき、彼は1歳3ヶ月だった。
周りに赤ちゃんがいなかったし初めてだったので、言葉に関しては
すごいけどまぁこんなもんかな、と思って育ててきた。でも、
今次男がとっても普通に健康な1歳6ヶ月を迎えるところで、
やっぱり二丸の言葉に対する何かは特別光ってるな、と思う。



これって親の努力とかを越えた本人の引力なのかもしれない。
次男には、妊娠中絵本を読む気持ちにならなかった。
生まれてから読んであげても、どこかへ行ってしまう。
まぁよくあるふつうの子どもの反応だな、と特に気にしてないが、
二丸の絵本を食べる能力の高さを改めて思い知る。

褒められるためにやって欲しくないので、とぼけて見守りたい。
個人的にはスポーツ得意な男の子に憧れるけれど、
言葉は一生の武器になるから、たとえ自分を縛ることがあっても、
ほどけるところまで行って欲しい。
そして一緒にはめを外せる悪友に恵まれますように!