映画見た

 身体がだるいというか、眠い。一日四、五回寝てしまっていて、これじゃあ何もできないとテンションダダ下がりなのだが、そこまで寝ないでも平気な日もある。というか、本格的に、出来る時に何かしなければな、という危機感が生まれてきた。

 半年以上ぶりに、家でDVDをレンタルしてきた。外だと否応なく画面と向き合うことになるが、家だとそうではないというか、そういう状況ではなかったというか。時間を無駄にしているくせに、映画の時間の拘束を嫌がるというのは怠惰で滑稽だ。まあ、とにかく、見たはずだけど忘れている、っぽい映画を借りてきた。ネタバレあるので、よろしく


 アキ・カウリスマキの『罪と罰 白夜のラスコーリニコフ/マッチ工場の少女 』

 『罪と罰』の方は初長編で二十台の若さで撮ったそうで、正直なんか文学青年が撮りました、的な都合よく役者が出てきて語らう、みたいなのがちょっと気恥ずかしい。
 銃を持って主人公を狙う男がいて、路面電車にたまたまひかれたた時、それだけで十分なのに、拳銃まで映す(主人公はそれを拾わないし)のも、ドラマチック(悪い意味で)な演出で、恥ずかしくなる。ラストの、なんでお前いるねん、みたいにこの映画での「ソーニャ」が突然現れて自首するのも、ご都合主義的な感が。

 とはいえ、映像はとても美しく、映画の主題に合った、寒々しさ、素っ気なさというのは表現されていたと思う。俺は、一度見れば十分かなあ、という映画。

 一方『マッチ工場』の方は、なんと、90分映画で開始20分まで台詞が無いとう構成。ただ、虚しく労働を続け、家では虚しくテレビの音がする。給料は全て親に渡し、食事は貧しいパンとじゃがいもと人参のスープ。ディスコに行っても誰も声をかけてくれず、一人、ジュースを飲むだけ。

 でも、彼女は容姿が悪いわけではない。思い切って買った派手な赤いドレス。それを親に見つかって、この映画の初めてのセリフ。父親がひっぱたき「あばずれ」母親が「返品しなさい」

 でも、彼女は男と一夜を共にすることに成功する。そして枕元にはお金が置いてある。その意味を理解しない女は、電話をくださいと言うメモを残す。

 男は面倒にならないように、全く愛していない寝ただけだ、というが、女は妊娠してしまう。

 そして、最終的に、ネズミ殺しの毒薬を混ぜ、男や、両親らを毒殺しようとして(多分、市販薬を希釈していたので、全員の生死を見せないのがうまい)最後は警察に捕まる。

 シンプルで、痛々しい。何か、を求めても間違っているから、経験が無いから的外れな事しか出来ない。胸に来る、気分の悪くなる良作だと思う。

 あと、ロマン・ポランスキーの『水の中のナイフ』ブルジョア夫婦の船のヴァカンスに若い野性味のある男性が加わって、という『太陽がいっぱい』と似たような構成もありながら、こちらの方がずっと、怠惰な美しさ、金持ちの休日感か強い。

 それは美しいモノクロの画面と、相容れないけれど、とりあえずは一緒にいる、彼らのほどよい緊張感から生まれるもので、退屈で、楽しい。まさに、ヴァカンス。

 こちらの映画はラストの20分が楽しいので、詳細は省くが、軽やかな不和、という感じで、とても洒落た映画だなあと思った。

 

 やっぱり、無理をしてでも(笑 映画位見なきゃなあと思う。だって、楽しいから。嘘でも、人生の一部分でも楽しくなければ、何かを作り出すことはできないなと、再確認した。

 気持ちも体調もグラグラしているけれど、あまり悲観的にならずに、胸糞悪い物を見て、作っていけたらな