テンプル騎士団の滅び

橋口倫介『十字軍騎士団』(講談社学術文庫) 読了。


橋口 倫介〔著〕
講談社 (1994.6)

 (表紙の画像はここに貼ってあります)


 テンプル騎士団が「お取りつぶし」の憂き目を見たのはなぜか。同じく十字軍遠征に大きな役割を果たした聖ヨハネ騎士団が、本拠地や様態を変えながらもその後長く存続した(している)のに・・・というのが本書の大きなテーマのひとつ。

 テンプル騎士団が異端の疑いをかけられ弾圧されたのは、実はその膨大な資産を狙った陰謀だというような説を聞いたことがある。しかし(少なくとも公には)テンプルの資産はイベリアにあったものを除けば聖ヨハネ騎士団が引き継いだらしい。ただしその直後フランス王フィリップ四世は聖ヨハネ騎士団から上納金を取っている。本当のところはどうだったのか判らないし、そこにテンプル騎士団を巡るさまざまな「伝説」が生じる余地があるのだろう。

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