「晩発性障害障害は必ず克服できるというふうに私は思っています。」斎藤紀医師

4月10日に録画した「NHKスペシャル東日本大震災1カ月」をまたみていた。
広島で長く被ばく治療にたずさわり福島県内の避難所をまわり健康面の不安の相談にあたっている、わたり病院の斎藤紀(おさむ)氏が話されていた。
この一カ月は線量の被ばくはわずかだったとおもっている。県民とともに被ばく汚染を受けるという感覚を以て一カ月過ごしたが、それは医者として初めての体験というか状況だった。そこから、現在もいろんなところに呼ばれ相談を受けますが、これまでの線量の経過から行けば長期にわたる健康障害は少ないということを言ってきました。私は今でもそれが正しいと思っています。しかしながらその理屈は多くの県民の不安を払拭(ふっしょく)できない。私のこころにある不安というものも払拭できない。やはりそういった理論を越えている出来事なんです。もう一つこの一カ月感じたことは、今最終的に審議しているのは家族ということなんですね。これからまたいろいろ出てくると思いますけれども、社会の核としての家族に大きな亀裂を作りつつあるのではないかということを実感しています。
10年、15年、20年の勝負、これは医学的に言えば晩発性障害そのもの。晩発性障害を考えた時に私たちに有利な面はそれを対処する上で時間があるということ。時間の過ごし方をどうするかが問われている。半世紀前に原爆被ばく者が悲惨な状態になって今日まで存命をされてきました。その時の大きな教訓は家族が離別・死別したために、存命できるものが存命できなかったという事態が統計学的にも示されている。そういった意味で家族の在り方、支えの在り方というものがとっても大事になってくると思います。それからもう一つは医学の発展がチェルノブイリ、スリーマイルの時よりも今の日本は大きく進歩しています。日進月歩で進歩しています。そういったことをふまえて考えた時に晩発性障害障害は必ず克服できるというふうに私は思っています。その時大事なのは国の施策的な援助がとても大事だというふうに思っています。
晩発性障害は必ず克服できる。繰り返し家族のことを言ってきたが、どうか目を向けてほしいのはあの原子炉の中で格闘している作業員の方たち。作業員にも妻も子どももあります。あるいは妊婦さんかもしれません。あの人たちとその心痛を共有することができなかったならばこの国難は克服することができない。大きくとらえてほしいと思っています。
どうか国は不作為をしないでほしい。本当にしないでほしい。(終)

澄んだ目をした先生だった。
自分の中に、「もう疲れたので、この人の言うことなら信じたい(安心したい)」と思う気持ちがある。逆に出来る限りこの事態を勉強しようと思うのは、妹が「(お姉ちゃんは)偉いわ、私はもう疲れて、どうでもいいって思える。」という言葉。大切なことは彼女にわかるように私が伝えられるようにと思う。そのことをこちらのブログを見て思った。
http://03txt.blogspot.com/2011/04/nhk.html

コメントより補足させていただきます。
齋藤紀医師チェルノブイリの被害にあった子供達の診察(於ベラルーシ)
http://www.cher9.to/ido_01.html
講演「正確に学ぶ放射線・人体への影響」
http://www.fuku-min.org/fmir/2011/03/post_1.html