『家族ゲームⅡ』(はてなダイアラードラマ百選)

id:hibikyさんよりバトンを受け渡され、「いいっすよ」などと軽く受けてしまったが、思えばテレビドラマなんてもう10数年観ていない……。まずい! よし昔観て、心に残っているドラマについて書こう。……ディテールが思い出せない。
でも、まあ、書いてみましょう。


家族ゲームⅡ』
放送期間:昭和59年 4月20日〜 7月13日(全11回) 放送時間:後 8:00〜 8:54
製作著作:TBS
プロデューサー:柳井満 脚本:筒井ともみ 音楽:瀬尾一三 演出:吉田秋生/山田護
主題歌:長渕剛「孤独なハート」 挿入歌:長渕剛「スローダウン」
出演:長渕剛(吉本剛)、二谷友里恵(殿村梨絵)、松田洋治(殿村和人)、三好圭一(殿村豊)、梶三和子(和人の担任教師)、日向明子(「小雪」のママ)、武知杜代子(「小雪」の銀ばーさん)、石倉三郎(シゲル)、西田恭平(マスオ)、遠藤憲一(純次)、レオナルド熊(殿村寅造)、遠藤太津朗(殿村作造)、白川由美(殿村泰子)


以上、データはこちらより。


長渕剛演じるはちゃめちゃな家庭教師が、松田洋治と三好圭一のウチに押しかけてくるんだよな。で、兄貴の三好圭一はマザコンな優等生で、松田洋治は甘ったれた落ちこぼれでいじめられっこだったっけかな? レオナルド熊は、松田洋治たちの叔父さんだったんじゃないかな。それで、三好圭一はいとこである二谷友里恵に恋焦がれてる。でも、白川由美と遠藤太津朗は、レオナルド熊を馬鹿にしてて「つきあうな」とか言ってる。長渕剛がそういう人間関係を、なんだか胡散臭く見ていて、「うじうじしてないで、そんなしがらみ捨てちゃえよ」とばかりに勝手なことばかりして、かきまわしてしまう……。
多分、そんな物語。


昭和59年に放送されたということは、俺はまさに思春期のトンネルに突入した矢先にこのドラマを観ていたことになる。長渕剛による主題歌「孤独なハート」が流れるオープニングのバックはトンネルを進む主観映像だったな、たしか。


思春期の悶々とした衝動と、優等生でいる自分とそれを期待する親への反発、そういうイカ臭い思いがテーマになっていたから、俺のハートはがっちりつかまれてしまったのだろうが、もちろんそんな抽象的な理由だけではない。


主人公である松田洋治が、スケバン連中に押さえ込まれてズボンを脱がされてしまうという場面を観たとき、俺のなかで暴れ狂うリビドーがあった。モヤモヤなんて生易しいものではない! 自分の痴態をさらけだされて男であるプライドが打ち砕かれ、かつどこかで性的な高まりを感じてしまっている自分への戸惑い。この場面は、後にオナニーをおぼえてからの妄想のベースとなった。女子更衣室を覗いている自分が女子たちに見つかって椅子に縛り上げられ、ついでに彼女らの性的好奇心を満足させるために屈辱的な行為を強要される、というような。
……まったくどうかしているよ。思春期の入口に見せつけられた強烈なイメージが、俺のM的嗜好を呼び覚ましてしまったのだから。テレビって有害だね!


松田洋治の兄である三好圭一が、白川由美演じる母親の言うなりになっているという設定にも、びんびんと反応していたね。いまじゃすっかり見る影もないけど、当時はそれなりに優等生だった俺は、母親の「あなたはできる子なんだから……わかるでしょ」の一言に反抗する気力を萎えさせられていた。三好圭一が白川由美の豆腐を切る手元にじっと見入ってしまう場面は、どこか不吉な雰囲気が漂っていた。「二つに切って、四つに切って」という白川由美のセリフはまるで呪文のようだった。あれ、なんだったんだろうな。この母親に反抗したら、自分もあの豆腐みたいに切り刻まれてしまうかもしれないというイメージだったのかな。豆腐は役に立たない性器のメタファー? そんなバカな!
ま、だからこそ、最終回で、三好圭一がついに正面切って母親に反抗する場面の爽快さは、涙モノだったな。しかも、「不良娘」と母親がののしるいとこの女にそそのかされてじゃなかったっけ? 卒業証書を川に捨てるくだりなんて、いまだったら「くさいなぁ」と失笑してしまうかもしれないけれど、当時の俺にはひどく切実な行為に思えたもんだ。


つまり、あれだ。『家族ゲームⅡ』というのは、わが子を性的に縛り上げる母親からの脱却であると同時に、女性による支配によってでしか性的な興奮を得られないMの物語だったんだな。俺の解釈によれば。
もう一度、30男の視点で観てみたいな。


さて、誰にバトンを渡せばいいのだろう? こんな俺のあとだから、きちんと書いてくれそうな人がいいよな。というわけで、いつも拝読させていただいているid:eichi44さんにお願いできないでしょうか? お見受けしたところ、正統的なテレビっ子に思われるのですが。それと同郷同世代のよしみで。

解剖されるために生まれた

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http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040820302.html
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040823307.html
「スタン」と名づけられたこのマネキンは、様々な症例の患者をシミュレートするんだって。
いろんな病気にかかり、何度も手術を施され、性転換されることもあり、そして何度でもよみがえる。そんなスタンには、いつか人工知能が搭載されるかもしれないというが、なんだか悲しげなSFのようじゃないか。