TCGを考える

 僕はいまのところTCGのプレイヤーではありません。とまず断っておきましょう。(これを書いてる時点で)
 さて、TCG(トレーディング・カード・ゲーム)は大人気です。デュエルマスターズとか、遊戯王とか。世界で最も人気のある非電源ゲームはマジック・ザ・ギャザリングであるというのは、どれほどマジックを嫌いな人でも否定できない事実でしょう。
 ずっと僕が不思議に思っているのは、これほど大人気なゲームを、嫌う人がまたすごく多いということです。そして、これは単に好みの違いというだけではないと思うんですよ。「マジックは嫌い」「マジックはやらない」という人はたくさんいるでしょうが「マジックの面白さがわからない」という人は少ないと思います。そう、TCGは面白いんです。なのにやらない人は決してやらない。
 で、とりあえずTCGが嫌われる理由を挙げてみましょう。
1、お金がかかる
なんといってもこれが第一ですよね。でも、そこまでお金がかかるのはレアカードでバリバリにデッキをチューンして大会に望むようなコアなプレイヤーの話じゃないでしょうか。趣味のテーマデッキや面白ネタデッキで友達同士でカジュアルプレイをする分には、それほどのお金はかからないと思います。また、かかったお金を総プレイ時間で割って時間あたりのコストを考え、ボックスのボードゲームを何度繰り返して遊ぶか、TCGを何度繰り返して遊ぶかを考えると、それほど差があるとも言えないんじゃないでしょうか。
2、やりこんでる人に勝てない
これは大きいですよね。プレイ人口の多さもあって、自分より遥かに強いプレイヤーはけっこうそこらにごろごろしてるもんで、あまりそういう状況でTCGを始めようという気にはならない。でもまあ、上と同じように考えるなら、コアなプレイヤーと対戦せず友人同士で遊んでいれば気にならないかとも思えます。
3、二人プレイしかできない
これは仕方がない。僕もそうなんですが、やっぱり三人以上のゲームには独特の魅力があって、二人対戦のゲームは(ボードゲームでも)優先順位が低くなる傾向があります。これは現行のTCGの大きな欠点だと思います。僕自身がTCGをやらないのはこの要素が大きいです。
4、TCGをやってるプレイヤーの人間のタイプが嫌。
……。あー、えー、同意……しちゃう……かな?(もちろんみんながじゃないですが)
うーん、他にもありますかねえ。思いついたらコメント下さい。
 では一方、TCGの楽しさといったらなんでしょう。
☆自分のデッキをつくれる。
 これです。これに尽きます。これ以外の、例えばコンボが楽しいとか、そういう要素なら他のゲームにもあります。カードのコンボのシステムがTCGっぽいと言われるようなゲームって結構ありますけど、そういうゲームを実際に遊んだときにTCGっぽいという感じるかというと、ぶっちゃけ全然そんなことないですよね。それはなぜかというと、コンボはTCGの本質ではないからです。だから、例えば自分の軍団を編成できる「ヒーロースケープ」の方がよっぽどTCGに近いでしょう。*1
 そこで、まあつまり、自分のデッキを作る楽しみがありかつ上に並べたような欠点をもたないTCGはないものかと思うわけですよ。
 ではそれはどんなTCGであればいいのか、ですが、とりあえず上の問題点3をクリアするために、三人以上でプレイできるゲームでなければなりません。で1と2を改善するためには、マルチゲーム的な交渉と攻撃の要素があるといいと思うんですよ。つまり、トップが叩かれるので、レアカードが1枚多いか少ないかとか、緻密で微細なプレイングとかはある程度中和されて、かわりに総合的な判断力などがものをいうようになると思うのです。さらにこれによって、4のプレイヤー層の問題もけっこう改善されると思います──だって、ほら、交渉ありだと、ある程度プレイヤーを選ぶし、それによって……ねえ?
 そんなゲームはあるのか? あるんですよ。いま僕が注目しているのが、Vampire:the Eternal Struggle(V:tES)というゲームです。じきに始めてみる予定なので、その後加筆します。

*1:このデッキ作りの要素は諸刃の剣になります。上でも出た、プレイヤーにちょっとアレな人がいるという問題の原因はここにあるでしょう。一部のTCGプレイヤーにとっては、一人でデッキを考える部分がメインで、対人のプレイ自体がデッキの確認作業(あるいは見せびらかし作業)に過ぎなくなってしまっているかもしれません。ただ、デッキ構築がTCGの目的だというのならつまりTCGは一人遊びだ、とまで言い切るのも正しくないでしょう。コンピューターゲームが一人遊びとして完結しているのに対し、TCGのデッキ構築はそれを使って人と遊ぶことを目的としています。ですから、TCGは一人でいるときさえ人と遊べるのだ、と言うこともできるわけです。つまりは考え方の問題であり、プレイヤーのスタンスによるものでしょう。

 で、始めてみました。とりあえずの感想なんですが、これはいいですよ。すごくいい。攻撃的な非電源ゲーマーの魂をもつ人は、このV:tESによって求めるものがほぼ満たされるんじゃないかな。欠点といえば、SF魂は満たされないというところ(そりゃ無理だ)、ミニチュアを使わないところ(か、片寄った欠点やな……)、ぐらいでしょうか。