■変化の道
雨が降ったり止んだりの、楽しい変化の道の脇では、可愛い花たちが頭を垂れてよく来たねと、声を掛けてくれるようです。
初めて見るシコクブシ(トリカブト)は、美しい紫色が霧のベールにふんわりと包み込まれているよう。
ベールの向こう側を覗くと、平安貴族がかぶっているような烏帽子の形をしていますね。
いろんな形の花の形はなにか理由があって形作られたと思うのですが、だからこそそれぞれ個性があって面白いのだと思います。
ツリフネソウは一本の細い釣り糸でぶら下がっています。
中に入った小さな子供は、小さな船のゆりかごに乗って、楽しい夢を見るのかな?
■切ない道
剣の神も、やさしいだけでなく、時としてわれわれを含む多くの生き物たちに厳しい試練を与える。
みんな、生きよう、生きようと、精一杯に踏ん張る。
子孫を残すために、卵を産み、花を咲かせる。
だから、厳しい環境に育つ者たちはこんなに切なく美しく感じるのでしょうか。
■神の道
天空へと続く神の道。
天に一番近い剣の頂上に輝く花々は、気候の変化を直接受け止めることには耐えれないのではないでしょうか。
今はまだ、背の低い笹がなんとか守ってくれている。
この笹原も、数年前までは、腰まであって、あるくと露でびしょびしょになったとのこと。
もしかして、笹のセが低くなったから、この花たちはこの場所に今は住んでいるのでしょうか?
いろんな事が絡み合い、相互に影響し合い環境が作られていく。
■これからの道
河童さんが言う。「この森の姿は、5年前の三嶺の姿とかぶる。」
鹿たちが、すみかを奪われ、一箇所に集まる。
その結果、草花が多く咲き乱れる豊かな森は少しずつ少なくなっていく。
思い通りにならないものは、すべて除外しようとする現代社会の縮図がこの森で
も確実に起こり始めている用に感じる。
「なんとかならんのかな」とポツリと呟く。
多くの人が、物事の根幹に気付き考え始めること。
それには、美しくも儚いこの自然と向き合い、素直に見つめる心を持つことから始まるのだと思います。