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これまでにご高覧頂いた皆様,ありがとうございました.2008年1月12日にカウンターを取り付けて,328日目の出来事でした.
毎朝,各新聞記事を拝読し,寝ぼけた頭で思い立ったことを,つらつらと書いている余り実のない本備忘録ですが,下名の日々の生活のなかで,殆どルーティンの一部と化しているのため,もう暫くは継続するつもりではいます.恐らくは.

徳島県議会十一月定例会は三日午前十時三十二分、本会議を再開し、代表質問に入った。今後の組織の在り方に関し、飯泉嘉門知事は知識、経験が必要とされる法務、福祉、情報など九分野で専門職員を育成する方針を明らかにした。これまで多かった短期間での異動ではなく、計画的にスペシャリストの養成に取り組む。樫本孝氏(自民新政会)の質問に答えた。
樫本氏が、地方分権に対応した県庁組織の充実の必要性を指摘。これに対し、知事は専門職員育成に向け、現職員の中から募集、選定する意向を示した。九分野は法務などのほか、年金・給与・公務災害、税務、児童福祉、企業支援、用地、財務・監査が予定されている。知事はこのほか、県民の暮らしやブランド戦略、道路整備について「関連する課の連携が特に重要な分野」と位置付けたうえで、新年度から「順次、局制を導入し、スピード感のある施策を展開できる機動的組織づくりを進める」と述べた。現在、県民くらし安全担当など、特命事項を受け持っている理事、副理事、参事などのスタッフ的な管理職は原則廃止するとともに、部局長への一元化を図り、職責の明確化を進める。
職員不祥事を受けて新設する監察局のトップについては「法令の専門家で、かつ県行政や職員倫理に深い見識がある外部有識者を非常勤職の監察統括監に登用する」との考えを示した。部長級の局長以下、担当職員数人の体制で年明けからスタートさせる。 運用開始から実績がなく、機能していないと指摘されている公益通報内部告発)制度の見直しにも言及。「通報の受け付けはメールや封書を原則とし、匿名情報も受け付ける」と話した。

同記事では,徳島県において,今後の人事方針及び組織編成方針が,同県議会において明らかになったことを紹介.特定部署(法務,年金・給与・公務災害,税務,児童福祉,企業支援,用地,財務・監査)においては,その人事異動の期間を見直して,「スペシャリスト(専門職員?)の育成」を図るとのこと.いわゆる複線型人事とも想定されるが,「スペシャリスト(専門職員)」であるとすると,その給与表は現行のままとするのか,又は,個々な職種に応じた給与表を設けるのだろうか.
同記事では,11月26日付けの本備忘録でも取りあげた,同県における監察局設置構想についても言及.同日でも疑問に思った,同局の「トップ」の職の扱いに関しては,「監察統括監」との職を置く方針が示されている.同日の備忘録の疑問の一つである「知事直属」という表現は,非常勤である,「監」職が付くことを想定されていたためか,と納得(「閑職」にはならないとは思われるが).
ただ,この人事運用(制度?)方針と監察局の設置.同時並行的に進められることをよくよく考えてみると,将来的には,同記事にいう「専門職員」が自治体内に増加することで,内部統制機関としての監察局との間で,業務知識・執務知識に関する情報の非対称が生じることも想定される.また,同一職への長期就任は執務技能の熟練化が進む一方で,11月15日付の本備忘録のように,部署によっては問題点を孕むことは経験的には共有されている.そのため,監察する側の常勤職員にこそ,業務に通じ,庁内での説得力を持つ「専門職員」の配置が適当とも思われる.実際にはどのような職務経験者が配置されるのだろうか.ただ,このような庁内情報・知識での格差を是正するためにも,同記事の後段にもある「公益通報制度」の見直しが想定されているとも考えられる.ただ,同制度の運用においても,同制度を通じて提出された情報が「トップ」である監察統括官への情報が届く迄に,同局内でいわゆる「前さばき」*1がなされ,伝達情報の「歪曲」*2が生じる蓋然性も低くはない.内部統制制度と人事管理制度の両立においては,これこそ何れの制度が罹る宿痾か,「報酬と統制」「内発と自律」*3を両立した良策がなかなかなか見いだせない難題.
なお,蛇足.下名,先日まとめた「観察ノート」と称するいわゆる「研究ノート」において,幾つかの自治体における「監」と職名が付く職の一つに関して,事例的観察結果を記したところ.同観察ノートでは,同職が,その職名からすれば,いわゆるスタッフ的な位置づけではありつつも,決裁権者でもあることから,その庁内における機能を素描したもの.同県における監察統括監という職はどのような分掌を持つのか,個人的には興味深い事例.要経過観察.

*1:村山治・奥山俊宏・横山蔵利『ルポ内部告発』(朝日新聞社,2008年)147頁

ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか (朝日新書)

ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか (朝日新書)

*2:アンソニー・ダウンズ『官僚制の解剖』(サイマル出版会,1975年)139〜142頁

官僚制の解剖―官僚と官僚機構の行動様式 (1975年)

官僚制の解剖―官僚と官僚機構の行動様式 (1975年)

*3:小堀喜康『元気な自治体をつくる逆転発想の人事評価』(ぎょうせい,2007年)158〜159頁

元気な自治体をつくる逆転発想の人事評価―岸和田方式・「人材育成型」制度のつくり方と運用法

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