• 購入理由:ゴーギャンに魅かれるのは,その「生涯とその作品というものが,他の芸術家以上に密接に結びついて」(9頁)いるからなのだろうかと思い,以前から入手したく,近所の古本屋さんにて購入.「芸術家にとって遅すぎるということは遂にあり得ないのだから」(51頁).なるほど.

横浜市の施策や事業について市民、有識者、市議たちが議論する「横浜市事業評価会議」が2日、2日間の日程で始まった。参加者から活発に意見が出され、傍聴席の市民から「市政を知る機会になった」との感想が聞かれる一方で、「出された意見を具体的に反映して」「議論のテーマ設定は改善すべき」といった課題点も指摘された。
 A、Bの2班に公募市民3人、有識者4人、市議6人前後の約13人ずつが参加。傍聴席には計約40人の市民が訪れた。初日は(1)歳入確保の取り組み(2)既存事業のあり方―の2テーマについて、両班別々の議題が俎上(そじょう)に載せられた。A班は午後の既存事業テーマで「旧余熱利用施設と公園プールのあり方」を議論。公園プールについては、利用者数がピーク時の半分程度、利用料金収入の4倍の運営経費、老朽化のため改修経費が必要、利用期間は夏場2カ月だけ―といった現状から「廃止を検討するものなど個別の目的を明確化すべき」といった意見が出された。
 午前から傍聴していた港南区の女性(25)は「市の施策は良い悪いが判断しづらい。知る機会が持ててよかった」と会議を評価。B班の歳入確保テーマ「市民利用施設の受益者負担」を傍聴したという男性会社員(46)は「民間ならサービスの価値で料金を決定するが、行政はコスト負担で料金設定を検討していて驚いた。そういう行政の気質が分かったことも含め、開催の意義はあった」と辛口の感想を語った。会議に参加した経営者の男性(39)は「出された意見が予算編成などにきちんと反映されていくかが重要だ」と市にくぎを刺した。
 一方で参加した市議からは、市側が設定した今回のテーマについて「当局が削りたい事業に“お墨付き”をもらった格好だ」「もっと大きな議論をすべき」など改善点を指摘する声も上がった。

全国の自治体に広がっている「事業仕分け」が2日、横浜市でも実施された。市側が選んだテーマについて議論したが、意見聴取にとどめ、「廃止」「不要」などの判断はしなかった。一般傍聴は40人にとどまり、300人近くが集まった相模原市に及ばなかった。
 正式名称は「市事業評価会議」。公募で選ばれた市民6人と有識者8人、市議19人が2班に分かれて、「市民利用施設の受益者負担のあり方」「企業立地、誘致施策」などについて話し合った。3日にも午前9時半から正午まで話し合う。企業立地については「都市間競争が激しい中で、教育環境など生活環境の強みもアピールしていくべきだ」「現在の支援制度がどの程度の効果を発揮しているのか、データに基づき判断する必要がある」などの意見が出た。市によると、会議で出た意見については、今後の予算編成に反映させていくという。
 市民の傍聴は自由で、100席ほど用意した。しかし、市議や職員が多く、受け付けした市民は40人だった。参加した無所属クラブの井上さくら市議は「メンバーは市議の割合が多すぎて市民が少ない。言いっぱなしではなく、一定の結論を出した方がいい」と注文。都筑区に住む公募市民でデザイン会社経営の小林創さん(39)は「意見を聞きたいだけなら、別のやり方もあるはずだ。なぜ今回のテーマが選ばれ、議論の結果をどういう形で政策に反映させていくのかよく分からない」と感想を述べていた。(佐藤善一)

横浜市の施策や事業について市民、有識者、市議たちが議論する「横浜市事業評価会議」が3日、終了した。市によると、2日間の市民傍聴者は延べ計約100人。市は会議での議論を2011年度予算編成に反映し、反映状況も発表する予定という。
 「事業仕分け」を土日に開催した相模原、鎌倉両市は傍聴者がそれぞれ延べ約300人、400人。平日に開催した横浜市は、やや伸び悩んだ。インターネット中継へのアクセス数は、常時200〜300ほどあったという。また、横浜市事業評価会議では、各テーマで「廃止」「縮減」といった結論を出さなかった。
 市がまとめた傍聴者アンケート(回答数62)によると、会議の開催について「有意義だと思う」が17、「課題もあるが一定程度評価する」29、「有意義と思わない」14、無効回答は2だった。その場で結論を出さないことについては「建設的な意見も引き出されるので良い」が30、「その場で一定の結論を出すべき」18、「分からない・その他」9、無効回答5だった。
 所管の総務局しごと改革推進室は、11年度予算案の発表と併せて反映状況を公表するとしている。公募市民の立場で会議に参加した泉区の北原勉さん(76)は「行政の施策を評価することで参加意識が生まれる」と開催を評した。平日に開催したことについては、会議関係者からも「傍聴者が集まるとは思えない」と疑問が上がっていた。

以上の記事では,横浜市において設置された同市「事業評価会議」が2日間にわたり,開催されたことを紹介.
2010年6月14日付同年7月15日付の両本備忘録にて取り上げた,同市における同会議.国レベルでの「事業仕分け」では「劇場型」*1との認識も示されることもあるなかで,第2記事を拝読すると,「100席ほど用意」された「傍聴」席へは,「市議や職員が多く,受け付けした市民は40人」とも報道されており,同会議へ「傍聴」の「入り」は限定的であった模様.第3記事にて報道されているように「平日に開催」されたことも,傍聴者数に影響があったのだろうか(ただ,下名個人としては,同種の作業は,「怒りも興奮もなく」*2進められるものであり,「劇場型」と評されるほど,聴衆を惹き付けるドラマチックなものとは一番距離がある作業ではないのだろうかという感想もなくもなく,傍聴された市民の数は,さほど問題ではないように思わなくもありませんが).
上記の両備忘録にて記録した,同会議の特徴の一つは,同市会議員の参加.市会議員の参加に関しては,第1記事では「当局が削りたい事業に“お墨付き”」付与する作業との認識が示されたことや,第2記事では「メンバーは市議の割合が多すぎて市民が少ない」との感想が持たれたことも紹介.
同会議で示された結論に関しては,「最終結論とはせず」,「各構成員の議論の内容などを踏まえ」,同「市として,予算編成の中で事業の方向性などを検討・判断」*3する方針であることが予め示されていたこともあり,本会議の「評価」と記される結論は,実質的には,その後の執行部及び市会審議の予算編成過程における各種「評価」を行う上での,むしろ「評判」*4的情報の生成作業とも再整理ができそう(か).ただ,その「評判」の生成に至るまでの,「評価」の「提供」では,「いい加減な評価を提供すれば,そのいい加減な評価と同じようなパターンで評価をつけている人が提供する情報しかてにいれることができ」ず,そのためにも「自分にとって意味のある情報を手に入れたいと思えば,自分自身が正直な評価を提供する必要」*5もあり,「評価」の「評価」である「メタ評価」の機能が果されることも肝要となる.恐らく,最終的な評価者は市会であるとすれば,同市会議員の方々が,同会議に参加されることには,第1記事で示された「お墨付き」との認識に止まらず,「至大のことより至細のことに至るまで,他人の働きに喙を入れんと欲せば,試みに身をその働きの地位に置きて躬自ら顧みざるべからず」*6として,「協調フィルタリング*7としての意義もあるようにも考えれなくもない.
同会議における審議結果を「踏まえ」た,今後の予算編成に関しては,要確認.

*1:枝野幸男『「事業仕分け」の力』(集英社,2010年)158頁

「事業仕分け」の力 (集英社新書)

「事業仕分け」の力 (集英社新書)

*2:マックス・ウェーバー『支配の社会学Ⅰ』(創文社,1960年)93頁

支配の社会学 1 (経済と社会)

支配の社会学 1 (経済と社会)

*3:横浜市総務局しごと改革推進課)「横浜市事業評価会議

*4:山岸俊男・吉開範章『ネット評判社会』(NTT出版,2009年)146頁

ネット評判社会 (NTT出版ライブラリーレゾナント057)

ネット評判社会 (NTT出版ライブラリーレゾナント057)

*5:前掲注4・山岸俊男・吉開範章2009年:146頁

*6:福沢諭吉学問のすすめ ほか』(中央公論新社,2002年)149頁

学問のすすめほか (中公クラシックス)

学問のすすめほか (中公クラシックス)

*7:前掲注4・山岸俊男・吉開範章2009年:146頁