トワ・ミカミ・テイルズ1


トワ・ミカミ・テイルズ1
【算定価格】  195円
【STORY】   ある帝国に支配されようとする広大な大陸・パンゲア。そのパンゲアを旅する少年がいた。名をリュカ。師匠であり吟遊詩人でもあるヴァルナとリュカは、帝国から狙われるある理由が……。
【感想】   『帝国から狙われる王子様の逃亡劇』というありがちな中世風魔法ファンタジー。王子様(リュカ)はやぱっり剣士で、打倒帝国を宣言して活動するあたりも王道中の王道。一応魔法(本編中では<虚空の力>(アガーシャ))とか、帝国という敵性国家の概念が登場しているので、それなりに魔法やら宗教やら歴史やらの背景設定はあるらしい。しかしながら、作中ではそれを説明しきれていないため、物語の至る場面で中途半端感が漂っている。
 特に魔法についての説明は不十分杉。作中で主人公の味方が種々の魔法を使ってくれるのだが、説明不足のために、それがどれくらい凄い魔法なのかイマイチ伝わらない。翻ってその魔法で倒される敵の強さがイマイチ分からないため、作中の敵がザコキャラばかりに見えてしまう。明らかに作者の文章力不足。
 文章構成・ストーリー展開もかなりご都合主義・・・というか突然杉で意味不明、味方のザコキャラが急に古代兵器を持ち出して敵に神風アタックしたり、兵力差1000対3(敵数1000、味方3)の明らかに不自然な戦闘が始まったり、主人公を嫌悪をしていた村人が、幼子の一言で急に方針転換したり、、、他にもあげればきりが無い不自然な展開の数々。はっきりいって絵本レベル。
 キャラ立ちも残念ながら良くは無い・・・というかかぶりすぎている。主人公(リュカ)をはじめ、主人公の女仲間その一、その二、男仲間、脇役ザコ仲間キャラ、が皆こぞって好青年キャラなので、仲間同士の会話の展開が単調になり杉。登場人物が皆優等性発言ばかりするので、言葉に厚みがなく、読んでいてイライラする。既に前述したが、絵本的(絵本に出てくる登場人物の会話)という表現が非常に的を得ていると思われる。
 まとめると、そこそこ設定はがんばったものの設定倒れに終わった作品。キャラもストーリーも絵本的。小学校低学年には丁度良い作品かもしれないが、総じて駄作。