ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

「漫画半分」

 またぞろ性懲りもなく古い雑誌の話なのだけれど、1976年の11月付で「面白半分」の増刊号として「漫画半分」の創刊号が刊行されている。「面白半分」はその5年前に刊行されたと書いてあるから1971年創刊だということか。
 「漫画半分」という雑誌についてはその後一冊も蔵書から見つかっていないところをみると、「面白半分」と対した差がないものだから毎号買う必要もないやと見限ったということだろう。面白かったのは巻頭の水木しげるの「エッセイ漫画 ああ天皇とボクの五十年」という漫画、井上ひさし山藤章二の対談「夜明けのクレージィ」の二つくらいだろうか。他はなんだか埋めるべくして埋めているという印象がしてつまらない。
 そういえば「面白半分」1977年9月号は目次にタモリハナモゲラ語の思想」とあるのだけれど、そのページを開けると「タモリ氏の『ハナモゲラ語の思想』の原稿は、まだ印刷所に到着いたしません。白紙のままでお届けすることを深くお詫び申し上げます。編集部」と書いてあってバックナンバーの広告が一部に掲載されているだけである。結構大胆なことをやっていたのだ。当時の「面白半分」は定価300円。
 のちに単行本化されてかなりの部数を売り上げ、その手の本がかなりの数刊行された高橋孟の「海軍めしたき物語」は「面白半分」の連載が初出である。

小布施温泉

 信州の友だちのところへ毎年今頃遊びにいくと、目新しい蕎麦屋とか、行ったことのない日帰り温泉とかを発掘している。今年は新しいところはどこ?と聴いたら、流石に今年はもう新しいところはないよといっていた。
 その代わりに、かつて彼が北信のスキー場でペンションを経営していた時にすぐそばにあったコーヒーショップのオウナーが小布施に移って店をやっているという。そしてそこのランチがうまいというので、彼の運転で小布施まで行った。
 小布施はかつて北信のスキー場からの帰り道に必ず寄っては栗羊羹を買った街だ。数年前の年末に格安温泉ツアーで湯田中温泉に逗留した時に遊びに来てその様変わりに驚いた街だ。素晴らしい変貌を遂げているのはよく知られているけれど、私にとっては余りにも完璧に作り込まれ過ぎているがゆえに面白くないという街でもある。アムステルダムの街の古いままに残っているのは面白いけれど、それをすっかり再現して見せたハウス・テンボスには行って見たいと思わないのと同じ様なものかもしれない。
 例えば街の一角をすっかり石畳にしてしまっているところなんかはすっかり「プロの仕事」であって、偶発的に出来上がってしまったバランスではないところが「どうだ!」という声になって聞こえて来ちゃうのだ。あの時にはなかった一角がずいぶんとセンスの良い、そして古い土蔵が隅々まで神経が行き届いた改造が施されたカフェになっているのを見ていると、思わず「わかりました!見事です!」と恐れいらざるを得ない。
 で、友人がそのコーヒーショップで聞いて来たらすぐそばに小布施温泉・穴観音の湯というのがあって、そこの露天風呂は素晴らしいというので、早速いって来た。これは嘘偽りなく、素晴らしい。600円と少々お高いが、それだけのことはある。二階の大広間からも見えるが、斑尾山黒姫山妙高山、戸隠と今日は全部がすっかり見えている。