青酸クリームソーダ/佐藤友哉

青酸クリームソーダ〈鏡家サーガ〉入門編 (講談社ノベルス)

青酸クリームソーダ〈鏡家サーガ〉入門編 (講談社ノベルス)

普通の大学生、鏡公彦18歳。平均的な、何気なくコンビニエンスストアに出かけた夜。運悪く、最悪なことに目下殺人中の灰掛めじかに出会ってしまう。それを「見て」しまった責任を取らされる公彦。それは、めじかの「殺人の動機」を1週間の期限で探ることだった――。――ここから始める。ここから始まる――。<鏡家サーガ>入門編、遂に幕開け!

のろのろ読んだのにもう読み終わってしまった。
あらすじにもあるように殺人現場を目撃してしまった公彦が、殺人犯灰掛めじかの動機を探る物語なんだが、一見無差別で動機も意味もないように見えるこの殺人に意味があるのか?あるなら何故?こんなとこが主軸のストーリーで、あとは鏡家がワイワイしてる話ですw
冒頭からいきなりの惨殺シーン、動機のエグさ、そしてやっぱりの妹萌えとか、今回もやはり好きな人に「どんな本読むの?」と聞かれてもこの人の名前を挙げちゃいけない感満載な展開。久々の鏡家だったのもあってハードル下がったってのはあるけど、面白かった。鏡家全員総出演だし(癒奈さんも)、やたら稜子さんの「マルチ」が懐かしかったり。「あんたなんかアニメ化されるときに変な設定つけられちゃえばいいのよ!」ってのは吹いたw
この人の場合展開がどうなるかがまったく予想が付かない方向へ行くことがあり、まあ今回はその裏をかいたと言ってもいい展開でもあり、つまりそれはあんまりぶっ飛びすぎてないってことで(今までに比べてね!)、それに登場人物も一人一人それなりに登場シーンもあったし「入門編」としては良かったんだと思う。(エナメルとは血と肉の違い?ではあるけど、個人的にはこの人の書く文章が好きなので、あんまりオチどうこうってのはどうでもいいっちゃいいんだよねw)
あと、とりあえず読むとおなかが減ります。


お前が本当に鏡家7人兄弟の一員なら、逃げずに避けずに突撃しろ。それくらいやれ。イノシシの子供だってできるぜ。それもせずにいきなり人に頼ろうとするから、俺は当惑したんだ。
恥をかきたくないとか、失敗したくないとか、そんな発想を持つほど上の立場にいるわけじゃないんだぞ。

告白/湊かなえ

告白

告白

「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る!

こちらはちょっと前に読んだから覚え書き。
本屋大賞」って本の良さを知ってもらうようなもっとワクワクしてキラキラしたものかと思ってたので、これが受賞作と聞いてちょっとびっくりするくらいダークで救いようのない小説。確かに引きこまれたし、文章力はあるんだと思う。展開もそれなりに伏線があったりするし。でも1章で終わりで良かった。2章以降はちょっと蛇足だな。
容赦がない小説って嫌いじゃないし、まあそりゃ先生の立場からすると赦さないよなーって思うんだけど、生徒にある程度感情移入できるような描き方をしておいて叩き落された感じで、後味悪いっていうより正直胸くそ悪いって感想。
でもこの人の他の作品を読んではみたくなった。