個人投資家は対面型のセールスやFAを警戒すべき

カウンターオピニオンは常に存在すべき。

山崎元のマネー経済の歩き方
【第204回】 2011年11月28日
山崎元
続・投資信託は日本でなぜ売れないのか?
http://diamond.jp/articles/-/15037
 フィナンシャルアドバイザー(以下、FA)を名乗る方から、フェイスブックで次のようなメッセージをいただいた。「金融機関のセールスマンが不適切な投資信託を売っている、対面型セールスは悪である──。これらの主張は、どんな事実を元に書かれていますか? 十把一絡げに特定の職業をこき下ろすことはやめていただきたい」という。実名でのまじめな問いなので、次のように返答した。
 
 すべてのセールスマン・FAが悪いわけではないが、以下のような理由で、個人投資家は対面型のセールスやFAを警戒すべきだ。

(にゃんこのまとめ)
1)不適切な商品を売る事例が多数ある。
2)より高い手数料の商品を顧客に薦めたくなる誘因がビジネス構造に存在する。
3)顧客はセールスやFAのよしあしを見分ける能力がない。

社会的に存在意義のあるよいFAであるためには、

(にゃんこのまとめ)
1)商品の手数料から収入を得ずに、アドバイス料から収入を得ること。
2)専門的に適切な知識を持つこと。

 以上のように答えたが、質問者は、まだ不満のようだった。「キャバレーに行くな! と書くのは勝手ですが、すべてのホステスは悪徳であると言ってしまっては差別です」という追加の抗議が来た(秀逸な比喩だと感心した)。
 
 確かに、「いいホステス」的FAには気の毒な面もある。しかし、顧客側は相手がいい人かどうか見抜けないし(他人を正しく評価できると思うのは多くの場合勘違いだ)、ホステスの側には顧客から稼がなければならない現実がある。
 
 他方、一般論として「利潤」がなければ、商品も開発・提供されないし、顧客は商品が買えるようにならないだろう。ただ、稼ぎ方や程度に「貴賤」の差はある(正直に稼ぐ人は偉くて、嘘や隠し事付きで稼ぐ人は賤しい、と筆者は思う)。利潤を稼いでいる人(私自身も含めて)は、仕事や稼ぎを誇ってもいいが、同時に心のどこかに罪の意識(少なくとも自己批判の意識)を持つべきだと思う。