書評の添削ですか?!

はてなの一部では、書評に著者が物申すのは何かの「恥部」だったり「お世辞にも美しくない」らしいのでちょっと驚いていたわけですが、最近もっと驚くことがありました。
『広告』(博報堂)という雑誌から来た、「あなたの本の書評を載せるので、それを添削した上で「書評の評」を書いて下さい」という依頼。
書評に著者が応答するだけならわかります。しかし「添削」とは。添削って、赤字入れですよね。ここはこういうふうに書け、ここは冗長なので削れとか。そんなの、バイトで予備校生の小論文を添削するのくらいしかやったことがありませんがな。


で、見本として送られてきた『広告』3月号のそのページを見た。「インタラBOOKレビュー」というコーナー。インタラクティブね。なるほど。
リードにはこうある。

本は、著者のものか、読者のものか。
誤読の自由、深読みの自由、とはいいながら、
書評に対して著者にも言いたいことがあるのでは。
書評と、その書評への著者の評&赤字添削からなる、
双方向ブックレビュー。今月の一冊は‥‥

その号では、中野京子氏の『怖い絵』という本が取り上げられていた。書評は博報堂のクリエイティブディレクターの人が担当しており、そこに確かに著者による手書きの赤がいくつか入っている。
しかしあんまり添削っぽくない。赤線引いて「ありがとうございます♪」とか「激しく同感!!」とか。
つまり基本的に褒める書評なのだ。だから著者もあえて文句がつけられないという。改めて企画書を見たら「個人的にリスペクトする書籍を毎号一冊セレクトし、書評を執筆」とあった。
著者の「書評の評」を読むと、特に書評内容には触れず、自著の解説である。


‥‥‥‥そういうことか。
ものすごく構えていたのに、気が抜けた。


最初想定していたのは、こういうのである。
「読みやすく書いてあるのは評価できるが、芸能人アーティストをここまでコキ下ろすのはいかがなものか」
「症候群として取り上げられているアーティストに対し、大文字のアート、アーティストとは何かが今ひとつはっきりしないのが残念である」
「アーティストをやめる下りは興味深いが、行間を読むに、実はまだアートに強い思い入れがあるのではないかと思わざるを得ない」
などと評してある。
で、私は赤字を入れまくる。もう真っ赤っか。そして「書評の評」で、「評者のアート観が伺えるようで興味深かったです。しかし‥‥」などとネチネチ反論する。それこそインタラクティブというものではないか?


でも様子が違ったみたいです。いつものようなわけにはいかなそうです。
書評はまだ届いていないので実際はどうかわからないですが、何と言っても『広告』なので、ネガティブなことは書かれないのでしょう。
なんか、批判→反論図式しか頭にない自分がちょっとだけ嫌になったわよ。


7月26日発行の9月号に掲載されるとのこと。随分先になりますが、興味のある方はどうぞ。