あんまりいい天気なので、思い切って外出。青梅線青梅駅の一つ先、宮ノ平駅から歩き始め、天狗岩、馬引沢峠を経て、青梅駅へ至る低山ハイキングへ。ピークが400メートル強。アップダウンの繰り返しのある長いコースで、所要は3時間半。高尾山より低いが、だからといって鼻歌まじりということはなく、けっこう息も切れ、汗だくになった。赤ぼっこ、と呼ばれる三角点からの開けた見晴らしが素晴らしい。ここにベンチあり。昼飯をとるならここだろう。ガイドブックには「雑木がじゃまして視界はあまり開けていない」とあるが、その雑木が切り倒され、180度の展望である。カメラでしきりに撮影する老夫婦とことばを交す。
後半、ゆったりと杉木立の尾根道を下る長いトレイルがあり、FM放送(なぎら健壱のフォーク大全集)を聞きながら、これはかなりいいハイキングとなった。
ところで、宮ノ平駅から青梅街道を歩き始めたら、しきりにマラソン人種とすれ違う。いっしゅん「青梅マラソン」開催日かと疑うほどの数だったが、沿道に係員はなく、ゼッケンをする人もない。まるで皇居の外周みたいな、マラソン人の往き来だ。こんなにむやみに走る人がいるとは。
天狗岩ハイキングも、登山客が少なくていいのだが、自転車で上り下りする人が多く、ちょっと驚く。7〜8名はいたか。歩く人に気を遣っての自転車行きだが、せっかく、車や自転車の往来を避けての山行きなのになあ、と少し思う。何もそこまで、と思う自分の方が変なのか。この件がなければ、宮ノ平から青梅に至る「天狗岩」コースはおすすめ。
帰り、青梅特快にまにあい、立川で快速に乗り継ぎ。ホームにある駅そばで、きつねそばを食べる。汁の香りが立って、うまかった。立ち食いは、これまでほぼかき揚げソバを頼んでいたが、さいきん、ちょっと飽きて、というかかき揚げの処理がうるさく、メンドウになって、かけそばを注文することが多い。すると、かけそばがいちばんうまい、という気になってくるのだ。歳のせいか。
ジェイムズ・リー・バーク『ネオン・レイン』、読了。ひさしぶりの再読ながら、これはかなりいい。
「メキシコ湾からの突風で水面が震えると、水には銀色の縞が何本もできた。樫の木と、苔と、夜咲きの花のにおいがした。ギャンブラーと恋人たちは、大きな犠牲を払って、小さな慰めを得る。しかし、それで充分のときもあるのだ」
などという克明な描写と、繊細な省察が胸を打つ。文学の功徳ならん。