児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ブラックベリー

 ラズベリーとブルーベリーとブラックベリーが結構豊作で、ほとんど鳥が持ち去ったんですが、ブラックベリーは鳥には人気がないようです。
 ツルで伸びていくので、道行く人からも取れるように塀の道路側にも出してあるのですが、通行人にも人気無いみたい。
 酸っぱくて美味しいよ。

児童ポルノ購入者は逮捕されない?

 相談は受けつけますが、実物は送らないでください。メール送信も困ります。それが提供罪になります。

 昔からこう考えていますが、(リンク切れています)
 一般の弁護士はわいせつ物罪(刑法175条)の知識で「不可罰」と回答するでしょうが、そんなに安心できる状況ではないと思います。

http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/buyers-interview.htm
購入者共犯説(現行法でも購入者は安心できない)
児童ポルノ取得行為の可罰性について。
 もとより現行法が児童ポルノを譲り受ける行為を処罰していないのは、わいせつ物販売罪(刑法175条)の体裁を借用したものであって、積極的な理由はない。

 現行法でも、販売等の目的は未必的で足りるから、大量に所持している場合(売るほどある場合)で、将来お金に困った場合に売るかも知れないという主観が加われば、販売目的所持罪は成立する(大阪高裁H15.9.12)。
※ 販売目的が疑われる場合
 郄画質である場合、同じタイトルのビデオ・写真集等が複数ある場合、販売の実績がある場合、投下資本が大きい場合、


 わいせつ物の罪の場合に、譲り受けた者が処罰されないのは、わいせつ物の罪は反復継続性・営業犯性を予定しているが、譲受人には反復継続性・営業犯性が認められないこと、保護法益は社会的法益であるから多数回行われて初めて可罰的と評価されること、表現の自由に対する配慮したことによると解される。
 また、講学上は、必要的共犯の一方だけを処罰する規定がある場合には、他方には刑法総論の共犯処罰規定は原則として処罰されないとされるから、わいせつ物の取得者は販売・頒布罪の共犯にも当たらない。
 しかし、児童ポルノの場合は、児童ポルノに関する行為は、描写された者への性的虐待・商業的搾取(個人的法益の侵害)であるが故に処罰されるのである。
 したがって、反復継続性・営業犯性は当罰性の要件とはならない。現に改正案(与党案)では不特定多数に対する提供罪に加えて、不特定多数を要件としない提供罪も設けられている。
 また、児童ポルノに関する行為は描写された児童に対する虐待であるから、表現の自由に対する配慮もさほど必要ではなく、取得行為を不処罰にする必要性は乏しい。
 従って、取得行為には当罰性が認められるし、現行法においても、販売・頒布罪の共犯ともなりうる。
 
 立法論としては、児童ポルノの害悪は、それが製造(撮影)されることによるものも著しいが、それが転転流通して拡散することによるものはさらに著しい。その意味では、法益保護の見地からは、流通を阻止することが強く求められているのであって、制定以来、立法者が譲受け行為を不処罰としていることは不徹底・児童ポルノの害悪を理解していないと言わざるを得ない。
 何かと議論の多い単純所持罪よりもよっぽど問題が少なく、有効な規制である。

※現代刑事法200402 わいせつ物を購入する行為の可罰性について 曲田統
児童ポルノの存在によって児童が被害者になるという正義に反する事態が生じていることは事実として明らかであるから、そのような事態を生じさせないために最も有効な法運用が正義の観点から求められることになる。購入行為といえども、「児童性的被害者を出すことに現実に力を与え、かつ児童の犠牲から利益を得る行為」に他ならない。この事実を直視するかぎり、購入行為の違法性および規範的非難を僅少と判断するのは合理性を欠こう。したがって、違法・非難に応じた刑事責任という正義の観点からみるかぎり、可罰的共犯とするのが合理的ということになる。さらに、このようかたちで刑法を運用することにより、児童ポルノの供給を「干し」、市場を確実に弱体化させていくことも可能となる。この効果は、児童の権利保護を目指す正義の観点から求められるものに他ならない。
このように、児童ポルノの購入行為は、正義の観点から可罰的とみなければならない。以上は、もちろんリアルポルノグラフィーを前提とした検討である。描写された児童がフィクションであるばあい、児童の権利への具体的侵害性がみとめられないため、その規制の根拠を正義の思想から説くことはできず、比較衡量から判断せざるを得ない。そうすると、購入行為の可罰性の問題についても、単純あるいはハードポルノの購入行為のばあいと同様の思考が展開され(つまり、刑法175条の射程の問題となり)、児童との性的行為をフィクションの形で描写した物を購入する行為は、その程度にかかわらず、不可罰であるとの結論が導かれることになる。

 児童ポルノについては、法定刑も引きあげられたので、購入者が「提供罪」の共犯として検挙される危険が増したこと、「将来失業したら売るかも知れない」という未必的目的でも所持罪が成立するとした裁判例があることを付けくわえておきます。

児童買春9罪「被害者らにも一定の落ち度があると言わざるを得ない。」とした事例

 買春罪は、性犯罪のうちでも、被害者が一応の承諾をした場合についての罪であること、被害者は判断能力が幼い児童を想定しており一般的には帰責の前提に欠けることから、「被害児童の落ち度」で減刑したらだめだよね。
 9罪でも執行猶予という前例になりました。
 

福岡地裁h15.3.18
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反
(判決主文)
被告人を懲役2年6か月に処する。
未決勾留日数のうち40日を刑に算入する。
この裁判の確定した日から4年間刑の執行を猶予する0
(犯罪事実)
被告人は,次の日時・場所で,各児童がいずれも18歳未満であることを知りながら,各額の現金の対償を供与する約束をして性交して児童買春した
第1 平成13年8月13日ころ,福岡県のホテルでA(当時14歳)に対し現金5万円
第2 同月16日ころ,同町のホテルで,B(13歳)に対し現金5万円
第3 同年9月16日ころ,同町のホテルで,C(12歳)に対し現金5万円
第4 同月24日ころ,同県のホテルでD(13歳)に対し現金3万円
第5 同日ころ,同ホテルでE(13歳)に対し現金3万円
第6 平成14年9月1日,福岡県のホテルでF(13歳)に対し現金5万円
第7 同月3日ころ,同県のホテルでG(13歳)に対して現金18000円、
第8 同日ころ,同ホテルで前記Fに対し現金1万8000円
第9 同年11月19日ころ,同のホテルでH(14歳)に対して、現金3万円

法令の適用
3 併合罪加重刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い第3の罪の刑に法定の加重)

(量刑の理由)
本件は,被告人が,女子中学生延べ9人に対し児童買春したという事犯である。
もとより本件のような破廉恥な犯行の動機に同情の余地などないと言うべきであるが,被告人は,以前からいわゆるテレホンクラブを利用して援助交際などと称して不特定の女性と性交渉を持つなどした末に女子中学生を対象として求め,約20名もの女子中学生と児童買春を繰り返し,中には同一児童と複数回買春したと言うのであり,まさに常習的な犯行であった。また,被告人は,被害児童に対し紹介料を支払うと称して新たな相手を紹介させるなど,青少年に売春を助長していたのであり,まことに言語道断である。しかも,本件は,被告人が起こした事件として,地域社会に衝撃を与え,社会に多大なる悪影響を与えたのであり,この点も量刑上無視できない。そうすると,本件各犯行の犯情は悪く,被告人の刑事責任は重いと言うべきである。
しかし,他方,各被害児童らも金欲しさに被告人を相手に売春行為に及んでいるから,被告人が女子中学生の精神的未熟さに付け込んでいた点はもちろん厳しく非難すべきではあるが,被害者らにも一定の落ち度があると言わざるを得ない。そして,被告人は,事実関係を素直に認め,法廷でも自らの愚かさを率直に認めつつ反省の態度を示し,その反省の態度はまじめなものと思われる。また,実名入りで大きく報道されたこと等により被告人はもとより,その家族もー定の社会的制裁を受けているとみることができるが,妻は,健気にも,今後も被告人を支えていきたいと法廷で述べている。そこで,被告人には等の事情も総合考慮し,今回は,主文の刑を科してその刑事責任を明らかにした上,その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
(求刑懲役2年6か月)
平成15年4月2日
福岡地方裁判所飯塚支部