浴す公共部位立ち話もなんですから

鹿発着する球簒奪し問う可否

こころにぽっかり空き縦縞を許す穴

青田に聳える異分子の脛コンクリート

ピル円いオレンジで非常階段の前に

川の流れに関与するリモコンの自死

花咲く場所明るく上から床を貼る

日光わたしの背を焼き影で指す辞表

三角にループする紙芝居水芝居

「撃て静かな民家を」混血から着信

画鋲ふたつ宇宙に向けて熱移す

千手を求め尽くす馬墓穴に香る

末端まで切符が滑る床の除去

骨を疼く潮騒枯れた道ならば

合わせ鏡の空間で伸び続ける棺

丸に似た星一概に傘を積む

走る前から汗かくミイラ一体の距離

ニヒリズムの書体だこの川千々に乱れ

放水車の下敷きに肢残す蛍

賽投げて見失う家ふたつ所有

梅まだ見ぬ被害者へ生卵の白身

胃の闇に鉄道招く舌鼓

割れたガラスを飾る木・嗤う木びしょびしょの子供

キャベツ洗う歯車状に拡散するまで

ネジの溝を故郷で埋める震源

通路にポツンと肩 人間であれば愚か

目で受ければ痛切に電線の雫

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膨らみのない杖に寄りかかる遺児

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相欺くガラスと現実星型に

蛾の目指さなくなった朝日燃えゆく木箱

不幸にして煉瓦と接すべき答案

灰色のカーペットで断層をゆすぐ

花はチカチカしていた見舞いの少女は消えた

湖面に光る文字を抱いて村一個分

ワインのボトルにベーコン乗せるメビウス

ケーキの意味拡大していく殺人現場

宇宙図とも妊娠とも呼べ意中の歩

管轄の券売機に馬繋ぐ滅び

見えないのは誰空気の山脈の写真

仮に与えた苦痛がせせらぎとぶつかる

森渦巻け没する狼を目とせよ

虫増えて思い残すに足る下界

いかる檀家己の臓器の沢へ下りる

服ちぎって布にするほど宇宙広い

製氷皿に固めて少女だったヘドロを

シャボン玉夜景に縦に盛り上がる

酢で洗う鏡にしか映らぬ化石

フェンスの向こうにブラックホールみたいに梅

叢に煙の色の泥蠢く

稚魚らしからぬ不自由風船は膨らむ

毒を鞄に旅する列車の眠りの駅

胸が張り裂けそうドの音を百年聞いて

心臓に青空灯すホーロー鍋

昆布掴めるだけ掴む深緑の十字架

生け捕りの悲喜をこもごも飛ぶカモメ

落涙は風か朱にまみれよ砂漠

水晶は割れ物毛虫が置いてある

もう見たくもない大理石に茎の歯型

菌むす奥の間に魚を捌きにいく

流星降る寿司桶に目を向けさせるな

槍にもあるふるさとの地図焼く遠く

暴れ馬のときどき笑う夕日円形

傷口の灯籠拭えば山が鳴る

しどろもどろに振る賽母の面に錘

腕ピンと青菜に叱られたい土曜

逆光の池泳がれて地割れ灰噛む

岩と化す自我平穏に多忙に肩

小屋舐めてエコーの遠出を溶かす酸

宇宙映す金属邪悪なる出自

合掌の患い抜く像として不全

慰霊碑のために操られ挽き肉買う

海より低い庭猿は拒食を始めた

旅情高く塀ひた走る鉄巨人

塩漬けの見難い魚に海さかる

毒婦登る神話に実在した金網

分度器のある世界では宇宙が雑

拾った髪を縒るなにもかも呼吸せよ

鬼閃く砂丘の最も白い階

花をちぎるバイオリンの音・海の絵する

悲しみ深く原油と同じ場所に埋めて

融点に達した園児とシーソーする

洞窟の舌が靡く大白痴の髪だ