なんだか愉快な研究室大移動

昨日は長かった。


ゼミがあるというので7時過ぎに起きた。
そんな早起きすることはめったにないというのに。
発表の担当だったので前日よく寝られなかった。
というのもあるし、朝もう一度読み返して
いろいろ詰めておこうと念じていたせいもある。


かなり早く研究所に行く。
人がほとんどいなくてまだ閑散としている。
論文を早めに印刷しておこうと仕掛けてくる。
SOMにほとんど目を通していなかったので、
もう諦めてもいいかとも思いつつ、気になる
図があるのでレジェンドや細かい説明を読む。
印刷できた論文に一部ずつホッチキスを留める。
本文を読み返していたらおもしろさの閾値
次第に超えてきた気がして、さらに読む。


そろそろ会議室に移動してもいい頃だ。


人が集まっていない。それも絶望的に。


珍しい顔が現れる。先輩のOさん。
情報収集という名目で外勤?ということで
久しぶりにゼミの様子を見に来たらしい。


なんか人が減ったね。
いや、こんなもんでしょ、いつも。


誰かとしゃべっているようだ。


だいたい少しぐらい遅刻してくることが
通常のプロトコルとして流通しているわけで、
だいたい学生もそれにあわせてゆるい感じだけど、
それにもまして今日は人の集まりが悪い。
お盆明けでみんなまだ休むことに忙しいのか、
柄にもなく午前中開催のゼミになったので
みんな起きられないというだけかもしれない。


そうこうするうちに定刻を過ぎても始まらない。
向こうでKさんとZさんが立ち話をしているのが聞こえる。
今日はいらっしゃるんですか。はい。○○時からゼミです。
おかしいなあ、今日は××時から△△時まで
対談の予定のはずなのに、忘れているのかなあ。


そうこうして、ゆるゆるしているところにメールが届く。


今は、夏らしい。


時間の流れがある種、特異なのである。
そういえば窓の外でセミが鳴いている。


ということなので、Oさんに最近の研究成果について
トークしてもらうことになってみんなで真剣に聞く。
分からないところは中断してどんどん質問して勉強する。
自分も被験者になった実験だったので、なるほど
そういうところを見ていたのかというところで納得する。
そして、あまりよい被験者ではなかったのかもしれない
ということについてもいろいろ考えるところがある。
Instructionを忠実に守る被験者のデータが適切
とは限らないということらしい。逆説的だ。


fMRIの中にいると、ルルルルルルという音がして、
なぜか新幹線の発車ベルの音のような錯覚がして
どこかに出かけるときのような気がしてしまう。
それが自分にとって妙に心地よかったりする。
そんなmind wanderingしててはよい被験者ではない。
でもあんなに気持ちよかったら眠れないよなあ。


HRFとコンボリューションなどの説明のあと、
結果についての議論などを詳しく伺う。
そもそも、そんな計測ができること自体、
実はすごいことなんだよなあと再度思う。


その後、都合上ジャーナルクラブは休みになって、
相談会やら実験やら、ちりぢりになる。
でもお昼をみんなで食べ行くため再会する。
「デリ食」のデリはdeliciousのデリなのかなあ、
いやデリカテッセンのデリなんじゃないか、
でもそれってどんな意味?食べ物系かな?などと
おしゃべりしながら、デリるのかと思いきや、
やっぱりなんとなくやめようという流れになって、
道路の向かい側のお弁当屋さん説も一瞬流れて、
いつも通りチェゴるのが妥当じゃないかと
そちらに向けて歩きながら、急に気が変わって。


その隣の沖縄料理屋さんが新しい選択肢だ。
ということにみんなが気付いて、危ぶみながらも
たまには違うお店もいいのではないかということで
入ったら、定食が一種類しかなくてみんなしばらく
席に座ろうかどうしようか迷いながら、まあまあ
ということでようやく腰を落ち着けて、もちろん
全員同じメニューを頼む。それしかないのだ。


ゴーヤチャンプルーが意外に美味しかった。
南国の写真が飾られていて、席の前の壁に
穴が空いていた。何かがごつんとぶつかって
壁を突き破ったという感じの穴で変だった。


なぜかこれではゼミに来たという感じが
全くしないということに気がついたので、
何が足りないのかいろいろ考えてみた。


お昼の後はここはやはり、コンビニで
飲み物とお菓子を買うべきだと思い出す。
いつものノリでコーヒーやらチョコやら
いろいろカゴに入れながら、誰かが買って行くと
きっとみんな飲んだり食べるはずと言い聞かせて、
でもこれは独善なんかではないと信じてみる。


午後はまたみんな実験やら密談やら
いろいろ忙しそうにしているようだ。
というわけで、コーヒーとかを配って歩いた。
無理矢理押しつけるみたいに、どれでもいいから
選んでと順番に意思決定してもらって回る。
みんなに渡ったので、自分もちゅるると飲んだら
のどに浸みわたってちょっと幸せな気分になる。
そうそうやっぱりこういう感じがないと
ゼミに来た気がしないよなあと納得する。
よくわからないけど、そういう条件付けになってる。


それからだいぶして、Nくんが寝坊しちゃったごめん、
と言いながらやってくる。彼が今日後半の立役者となる。


今週末から工事のために大学の北側の研究室が
使えなくなるので、南側にある僕らの部屋に
"You-know-who"が移住してくるらしい。
というわけで、玉突き的に追い出されるので、
荷物の整理をした方がいいということである。


状況があまり理解できなかったのだけれど、
みんなで行こう行こうというので行くことに。
結構遠い。電車を端から端まで乗る感じ。
しかも今は入口が工事中で迂回路になっていて
それがさらに遠さに拍車をかけていて二重苦。


やっと部屋に着いたら、ドアのところに
"He who must not be named"が貼り紙をして
これこれの期間はこの部屋を私が使います
と高らかに宣言なさっているではないか。
なんだかあったまきちゃうです。


それで、部屋に入ったものの、どうしようか
みなで思案しているときにNくんがひらめいて、
全部研究所に運んじまおうぜという提案を。
そんな暴挙(失礼!)が許されるのか、というより、
そもそも実現可能なのかとあわてふためくを尻目に、
すぐさま調べて電話して車を手配仕始めるNくん。
彼は本気らしい。本気と書いてマジと読ませる。
もう一度繰り返しておこう。彼は本気らしい。


すでに夕暮れも終わった時間だったので、
近くのレンタカー屋さんは営業時間が終わりつつあり、
24時間のところを探したら、町田駅前にあるらしい。
彼はそこまで行って車を取って来てくれると言う。
その間に、荷物をまとめて下に運び出したり、
溜まりにたまったゴミの山を隣の部屋に押しつけたり、
もとい、隣の部屋の人に頭を低くして頼んだり。
それでもなかなか連絡が来ないので、どこかで
迷子になったか、まさか事故って・・・!?と心配する。
そんなことはなく、普通に遠かったらしい。すまん。


荷物をどんどこトランクに詰め込んで、
もうこの部屋に思い残すことももはや何もない、
と言っても過言ではないくらい部屋をすっきりさせて、
これから研究所に運び込もうということで移動する。


ドライバー(ありがとう)のNくんの幸福な日常や、
それを想像できる?かどうかなんだよ、というお言葉、
助手席のTさんとの掛け合い漫才のようなやり取り、
今だから言えるけど、的な打ち明け話など盛り上がる。
とにかく結論は、この研究室はすばらしいということだ。


研究所に着いたら、案の定、想定内ではありつつ、
電気が消えていて誰もいないし鍵がかかっていた。
そこで代替案として、2Fにはまだ人がいらしたので、
その人に頼んだら快く3Fを開けてくださった。
若くて優秀そうな研究者の方だった。いい人だった。


なんとか荷物を運び込んだのでまた町田に向け出発。
何度か道を曲がりそびれたりしながらも順調に走る。
Tさんを家に送り届けて、それから給油所がなかなかなくて
教えてもらった場所は実はかなり離れていたことを知る。
やっとたどり着いたら、給油口を開けるスイッチが
見つからなくて、かなり悩んですったもんだしたのち、
分かりにくいところにさりげないボタンをようやく発見。
最後にレンタカー屋さんに入ろうとしたら、INと書かれた
ところに進んだらバーが上がらずに行き止まりになって、
後ろは車道で車がびゅんびゅん走ってるから後戻りも
難しい、にっちもさっちも行かない状況になったので、
店員さんを呼びに言って説明したら、入れ直して
こちらに回ってくださいと言うので、おいおいふざけるな
そんなむちゃくちゃ言うな、この指示の書かれ方はないよな、
ここに入れって書かれてるから入ったのに違うとか言うな、
とあやうく切れそうになりながら自制して平生を保ち、
交渉したら、そのままそこに置いておいてください
ということで合意したので、それで返却になった。


駅までとぼとぼ歩きながら、かなりお腹すいたよねえ、
でももう11時過ぎだから終電まで30分くらいしかないけど、
都心まで移動してたらやっぱりまた時間がなくなるし、
ここで食べていこうと決断して、開いてるお店に入った。


お通しのレタスだけでも涙が出そうな勢い。
唐揚げが食べたい。ネギトロだ。炙りだ。うまい。
Yakitori
焼き鳥片手にご満悦のNくん、こと野澤くん。
Yakitori2
笑顔が板についてきました。


グッジョブ。野澤くん。お疲れさま。
ひさしぶりにめちゃくちゃビールが美味しかった。


二人とも終電がなくなっていたのだけれど、
途中から歩いたり深夜バスを発見したりして
なんとかなった(よねそちらも?)。
たった一日だけど密度の濃い合宿みたいで
やたらめったら楽しかった。おしまい。