アルテミス・ファウル 妖精の身代金(オーエン・コルファー)

アルテミス・ファウル、というタイトルだが、この本では、アルテミス自身の活躍が不足。
それより地下の妖精族の警察官であるホリーの活躍が生き生きしている。
シリーズの1巻ということで、どうしても地下に潜んでいる妖精やトロール、ゴブリンたちの世界の説明を多くせざるを得ない。
その役目を、LEP(地下特別警察)初の女性捜査官であるホリーと、その上司が担っている。
地下世界の成り立ちや、科学力(結構、進んでいる)、妖精の儀式の説明など、それらの紹介だけで楽しめる。

一方、人間界では、先祖代々続く悪党のファウル家で、当主のアルテミス・ファウルが何かをたくらんでいる。
少年だが、その知性も悪巧みも軽く大人を超えている。
しかし、行方不明の父の捜索や、気が触れてしまった母親の様子を眺めるときの心の揺れに、ほんのちょっと子どもらしさが出てくる。
大人であるボディガードたちを指図し、全てを自分自身で遂行していかなければならない。
順番を間違えて先に読んでしまった3巻に比べると、両親のことがアルテミスに大きくのしかかっており、ストーリーの展開が重くなりがち。
そこで、代わりに、妖精ホリーが軽快に話の展開の中心になっているのだ。
 
映画化されるようだが、ゴブリンなんかの実写版は可愛くないだろうなー。

アルテミス・ファウル  妖精の身代金

アルテミス・ファウル 妖精の身代金