第2018冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 [単行本] ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 1点のかげりもない満足


ディズニーワールドは、人々からどう思われるかの大切さをよく理解している――魔法の国に足を踏み入れたと思いたい来園者の気持ちを、よく知っている。いつもペンキを塗り替えているのは、魔法の国では壁がいつもピカピカで、傷ひとつなからだ。前の晩に雨が降れば誰かがきちんと施設の表面を拭き上げているのは、魔法の国は泥やほこりで汚れていないからだ。私はこれまで何度も夜のパレードを見てきたが、何百人もの出演者が着ているキラキラ光る衣装で、切れた電球を目にしたことは一度もない。ディズニーは、たった一個の暗い電球こそ目立つことを知っているからだ。魔法の国の光景に見えるには、すべての電球が明るく光っている必要がある――私は毎年クリスマスの季節になると、我が家の電飾でこれを試みるのだが、成功したためしがない。ディズニーの魔法にとって不可欠なのは細部へのこだわりで、それに莫大な金がかけられている。安全から清潔さ、礼儀正しいスタッフ、そしてもちろん、ひとつ残らず点灯する電球まで。


会社がまわりからどう見えるかの細部に気を配ることをよく考えてみると、前の章で説明した身だしなみを整える行動を変わりがない。私たちは相手からよく見えるように努力することで、相手に敬意を示そうとする。そのために、こうした小さな、おそらく表面的な変化が、深い印象を残すことになる。だから表面的な見せかけには十分な注意を払わなければいけない――会社がどう見え、どう聞こえ、どんな感情を引き起こすかが大切だ。私はクライアントにいつもこう尋ねる――「あなたの会社は自分自身についてどう思っていますか? 『私たちは清潔で、心配りをし、整理整頓されている』と言えますか? それとも、これらは優先順位の最下位ですか?」。顧客はこれらのことをとても優先していると断言できるからだ。実際には、顧客はこれらを最も優先している。

  • シーザーにふさわしいバレス


私はシーザーパレスでよくセミナーを開く。ある日、ホテルの外でペンキ塗りの準備をしている男たちが目に入った。ラスベガスのホテルはどこも四六時中塗り替えられているから美しい。エッフェル塔が定期的に塗り替えられているのと同じだ。それを知っているから、男たちが作業しているのを見ても別に驚かなかった。ただ私が驚いたのは、彼らが準備しているペンキの入ったバケツの数だった。職人のひとりに、なぜそんなにたくさんあるのかと尋ねてみると、近くの像を指さしながら、次のように説明してくれた。「あの像が見えるだろう? あれは後ろの像よりちょっとだけ白いんだ。だからよく目立つ。全部に塗り色のコードが決まっていてね。ここシーザーだけで一八種類の白が使われていて、ベージュの種類は二〇以上あるよ」。


古代を模したこの堂々たる建物は、空港からでも目に入る。いつもきれいに、真新しく見える。廊下にすり傷ができると、きれいに洗い流されるだけでなく、三時間以内に塗り直される。宿泊費は高いかって? たしかに。それでも大勢の人たちが滞在し、この飛びぬけて魅力的な場所で楽しむ。稼働率は九二パーセント。美的センス、美しさ、清潔はすべて快適に結びつき、ひいては成功に結びつく。人々がこのホテルに滞在する理由はそこにある。