文型論の変遷②
7文型などの試み
文型番号が恣意的であり、義務的副詞要素を認めないといった5文型の欠点を克服するものとしてはQuirk, et.al.(1985)の clause type が知られている。
- Type SV (Someone was laughing.)
- Type SVO (My mother enjoys parties.)
- Type SVC (The country became totally independent.)
- Type SVA (I have been in the garden.)
- Type SVOO (Mary gave the visitor a glass of milk.)
- Type SVOC (Most people consider these books rather expensive.)
- Type SVOA (You must put all the toys upstairs.) (Quirk, et.al. 1985: 53)
この7文型をさらに集約すると two-element pattern (SV), three-element pattern (SVO/SVC/SVA), four-element pattern (SVOO/SVOC/SVOA) という構造による分類と instransitive verbs (SV), transitive verbs (SVO/SVOO/SVOC/SVOA), copular verbs (SVC) という動詞型による分類が可能であるとしている。
この文型論の注目すべきところは義務的副詞要素 (obligatory adverbials) と補語との平行性を認めていることである。このため単にAを含む文型を追加して7文型にしただけでなくその相互の関係も意識したものになっている。
「構造型」と「機能型」
Onionsや細江の文型論とは別に、Hornbyらによる「動詞型」(verb pattern) があるがこれは文の構造に着目したものである。安藤 (1983) はこうした構造に基づく動詞形が実際に英文を書くうえでの有効性を認めつつも基本文型の概念を中学・高校の生徒にたたき込むには5文型の方が有効であると考えている。その理由として安藤は、①5文型のような「機能型」の文型が多くの文に当てはまるという点で一般性が高いことと、②構造に基づく動詞型では表面構造に制約され深層に潜む規則性が捉えられないことの2点を上げている(安藤1978, 1983)。深層における規則性を考慮に入れた新しい文型の分類の必要性は安井(1996)においても指摘している。ここでいう「表面構造」や「深層」とは変形生成文法の概念である。
参考文献
- Quirk, R., Greenbaum, S., Leech, G., and Svartvik, J. (1985) A Comprehensive Grammar of the English Language. London: Longman.
- 安藤貞雄(1978)「5文型とその問題点」『学習英文法』研究社出版.
- ―――(1983)『英語教師の文法研究』大修館書店.
- 安井稔(1996)『改訂版英文法総覧』開拓社.
A Comprehensive Grammar of the English Language
- 作者: Randolph Quirk,Sidney Greenbaum,Geoffrey Leech,Jan Svartvik
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- 作者: 安藤貞雄
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