ダンタリアン/うさぎドロップ/夏目友人帳

ダンタリアンの書架・9話と10話。二階建て、ってことでまずAパートはわらしべ長者のお話。「等価の書」はその名のとおり等価交換を可能にする幻書だが、人によって「等価」の概念は異なるのであり、いずれは自分自身の命を差し出さねばならぬ。…これがマジっぽいキャラならばどうなっていたか判らんが、ことカミラさんが所有者となれば別にどうということはない。幻書なんかどーでもいい、ダリアンちゃんが喜ぶルーズベルト熊さんの方が大事なのよん、っちうね。仕掛けもオチもシュッとしてて面白かったのだが、どんどん膨らんでゆく「等価交換」の過程を面白く見せてくれても良かったかもしれんな、とかね。まそれは尺の都合上ムリっぽいですが。


元ネタの「赤いクリップからの物々交換」はちょっと前ニュースになってましたな。あれは確か最終的におうちを手に入れたんだっけか。まさにネットという構造体は現代の幻書よのう、とか?


Bパートはアルマンさん再登場。比翼連理の幻書を使ってラブラブになるも、残念ながら相手が嫉妬深くて半分ヤンなお人であり、ついでにアルマンさんも(浮気はともかく)少々軽い人物だったのでエライことに…の話。襲い掛かる憎悪の鎖に嫉妬の焔、さてアルマンさんを救う手立てやいかに…ちうてたら「アルマンさんには一旦死んでもらって呪縛を解き、その後幻書の力で生き返ってもろたらエエやん」という、…うん、まあ、軽い命やな! RPGかドラゴン球か、っちうくらいのお手軽な生命価値がすげえバカでよろしかった。アルマンさんこういう扱いなのね。よし。


しっと女史に桑島法子さん、はタイプキャスティングというよりはそういうお約束ギャグに近いだろうね。あと古本屋主人に川久保潔御大、まだ矍鑠としてらっしゃるようで善哉。以前見たのはグレンラガンのグアームだったっけか。そういえばガイナつながりか。


うさぎドロップ・9話。ありゃ、こっちでも台風話。タイムリーっちゃタイムリー。てことで台風襲来の中、準備対策したりコウキさんたちが泊まっていかなかったりする話。いつもと違うちょいとした非日常な風景で、まるで家族のように一緒に居る四人。一種のつり橋効果というか何というか…いやまあ、それまで積み重なった関係性も充分にあるんだけどね。


コウキさんたちが帰っていくシーンのラスト、タクシーの窓越しに頭を下げるコウキママと、「片方の肩だけ雨に濡れた」大吉のカットバックが良い。良いというか、端的に言って生々しい。それまでまだちょっとふわふわっとした雰囲気のあった画面が、静かなBGMと抑えた音響設計のせいもあって、急にしっとりとした手触りになる。あからさまではなく自然に、つ、つっと視線を揺らすママの描写とともに、脳みそに引っかかる絵作りが効果的。


上で非日常と書いたけど、それをちゃんと描写するには対となる日常描写もおろそかに出来んワケで。学資保険の話題、土嚢を積む面々、落ち着きの無い生徒、…「か」の書き方。いちいち上手い。これは個人的経験によるものだろうけど、一番グッと来たのは雨戸閉めたウチの中を「秘密基地みたい」と言うたコウキさんやな。そーねー、あの木の雨戸ってそうなのよね。あの雰囲気が快感なのは一種の胎内回帰願望に近いのかしら、とか思う。


原画に井上俊之齋藤卓也中澤一登の名前。どちらかといえば地味目の話だったのだが、それだけに確実なキャラの芝居が求められた、のかしらん。あとパフィーのお二人さんが託児所の職員さんとしてゲストで登場。演技はまあ、この作品の雰囲気と比較してもそれほど悪くなかったと思うんですが…キャラデザインの突出ぶりがなんかすげえ浮いてましたですよ? もうちょっとさりげなくても良かったんじゃないでしょうかね? なんかそういう風に描けとかいう契約でもあったのかと邪推してしまった。


夏目友人帳 参・10話。落雷した森を散策する夏目さんと先生であるが、まァそんにゃことすれば当然ながら面倒ごとを抱えてしまうのである。今回はそれに加えて田沼さんもついでに、だ。…ちょっとヒネった設定なのは、夏目さんの目に入ったのは妖しの鏡のカケラ、田沼さんに憑いたは鏡を探す妖怪、というね。夏目さんの目が残りの鏡を探すための探知機となり、妖怪さんはそれを利用する、と。何やらゲームの小クエストみたいな設定であるなあ、と思ってたら続いてしまった。前後編やるのか、ははあ。


今のところ一緒にくっついてきたタキさんはあまり役に立っていない。まあ役に立つ立たんが友人関係ではないのはもちろんだが、こと創作物となるとあんまし意味の無い要素は出してこないだろうしね。あるいはそういう「友人関係」そのものの描写のためにくっついてきたか。ま、それは次回以降。


鏡の妖に生天目姉さん。すっかりアダなお人が似合うキャラになりましたな。あと鏡を狙うハンマーモンスターの動き、普段の気味の悪いゆるやかさといざというときの俊敏さがよいメリハリで、絵的に楽しかったっす。