Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

14日(金)0時過ぎに香港空港へ到着:

羽田からの飛行時間は約4時間。現地時刻の0時頃に香港空港に到着。香港の空港は非常に広く立派だ。入国審査後、長物のハイトメジャーを預けたので、荷物が出てくるまで若干時間を要したが、概ねスムーズに到着。出口で香港レガッタのホスト役が我々を待ってくれていた。羽田から前述の飛行機で香港入りした日本からの遠征組は、淡青会(4名)、パルテ会(5名)、MBCRC若手(4名)の13名。大会側は深夜の到着にも関わらず、大型バスをチャーターして我々をホテルまで連れて来てくれた。移動の手間や運賃を考えると大助かり。大会事務局の力の入れ様が伺われた。ホテルにチェックイン後、即ベッドイン。

14日(金)借艇・リギング・乗艇練習:

朝はホテルでビュッフェスタイルの朝食。大会側が準備してくれたシャトルバスでSha Tin Rowing Centerへ。(略称STRC、現地にある共同艇庫)バスを降りると海外からの出漕者接待役Peggy Wonちゃん(若い女性)が艇庫を案内してくれた。艇庫へ降りると配艇役のLeeさん(大柄な男性)が我々が大会で使う艇とオールを1艇ずつ示してくれた。下の写真は艇庫内。艇庫内にはこの共同艇庫を利用している各クラブチームのエイトやフォア、それとスカルが置かれている。

艇は中国のWudi社製。日本では桑野造船が同社の艇を販売しているので、扱いの方は概ね分かっており心配なし。先月、香港でアジアジュニア選手権が開催されたとかで、艇によっては新品状態の艇もあった。1X艇については出漕クルー数が多いこともあり、新しい艇から若干古い艇まで様々だった。おやじが借りたWudi艇は艇庫の外に置かれている艇でもあり、船齢(3〜4年?)の割にレールや金具類が若干錆びて劣化していた。下の写真は暴露に置かれた艇と艇庫前のコースの様子。

オールはクローカーオールの新品。これは現地のボート初心者教室用に最近購入したばかりの新品。見た目は我々が使っているクローカーオールと全く同じに見えたが、持ってみると少々重た目。シャフトの銘柄をチェックすると、S6と書かれていた。どうもガラス繊維が若干入ったトレーニング用のシャフトの様だ。(日本で一般的に利用されているのはS2で、フルカーボンの軽量シャフト)
Leeさんに借りた艇のリギングを調整して良いかと尋ねると、艇は各クルーに固定配艇としているので調整しても問題ないとのこと。出漕費や借艇料などの細かい費用も予め銀行送金しておいたので面倒な支払手続きも無く直ぐにリギング調整に入った。ハイト計と最小限のリギング用工具を持参してきたのが1X艇2杯と2X艇1杯の4名で同時にリギング作業したので、工具が取り合いの状態になり、若干手こずった。それと艇庫前の艇整備用広場が狭く、傾斜しているので角度関係のチェックがやり難かった。下の写真は艇庫前のリギング場。

それと4名の内、おやじ以外の3名は、艇を一から本格的にリギングし直すのは、今回が初めてでもあり、一つ一つ数値や要領を説明しながらリギング調整するのは結構気疲れした。おやじの借りた1X艇はWudi製。(桑野造船が販売しているWintech艇はWudi社のOEM生産によるもの)カーボンウィングリガー艇だが、このウィングリガーのリギングのやり難いこと。ハイト、外傾、ピン角度などを自在に変更できる様にしてあるのは良いのだが、外傾やピン角度などは0度になっていれば本来弄らなくても良いところ。一つを変更するのに幾つもボルトを緩めたり締めつけたり、少々辟易した。香港のSTRCにはWudi製の真新しい艇が沢山保管されていたが上記のカーボンウィング艇はなく、皆アルミウィング艇に代わっていた。恐らくカーボンウィングはリギングが面倒で扱い難いし、値段も高いので人気がないのだろう。おやじの1X艇は以下のリギング値に設定。

  1. オール長:285cm(借りたオールがこの長さだった)
  2. インボード長:85.5㎝(下記スパンに合わせて設定)
  3. リガースプレッド:158cm(157cmにしたかったがこれ以上短くならず)
  4. ワークハイト:S=16cm/B=18cm(艇が小さく、これでは少々低かった)
  5. ヒールデプス:15cm
  6. ワークスルー:9.5cm
  7. ブレードカバー角:3度

結局、リギング作業に1時間30分程度かかった。下の写真は漸くリギングを終え、リギング確認の乗艇で岸蹴りした4名。

上の写真でも分かる通り、金曜日の日中は東の風が強く、水面は結構な波立っていた。リギング数値は合わせたものの、やはり漕ぎ慣れた自艇ではないので少々違和感があった。特に靴が窮屈だったのと、艇が軽量級用のためか若干乾舷が小さく艇が沈み勝手の様に感じた。まあ、こんなもんでも何とかなるだろうということで2周(8km程度)漕いで揚艇。長旅の疲れか、太ももが張っていた。
スカル乗艇終了後、大会事務局が準備してくれたランチを食べた。(チキンカレーだが、結構大味)
昼食後、休憩を取る時間が惜しいので、早速舵手無しフォアのリギング。この艇は正に新品。リガーはアルミウィングタイプ。リガーがイタリアン配置になっていたので、ノーマルの配置に付け替え、以下のリギング値に設定。

  1. オール長:372cm(借りたオールがこの長さだった)
  2. インボード長:114㎝
  3. リガースプレッド:85cm
  4. ワークハイト:17cm前後
  5. ヒールデプス:15〜16cm
  6. ブレードカバー角:4度(オールが1本1本捻じれていたのでブッシュで調整)

下の写真は無しフォア艇のリギング風景:

リギング後、リギング調整結果を確認するために出艇。まる一日リギング作業で立ちっぱなしだったので、もう少々グッタリ。乗艇途中で体調が悪くなったので1周で早々に揚艇。Team Manager's MTGに出席後ホテルへ戻った。

14日(金)夕食(グルメツアーその1):

ホテルで風呂に入ると漸くスッキリして体調が戻った。夜は地下鉄を乗り継ぎ、鯉魚門(Lei Yue Mun)の魚料理レストランへ移動。最寄の地下鉄の駅から歩いて20分程度のところに魚市場があり、市場で新鮮な魚を見学しながら一番奥にある目的の店:南大門へ到着。香港の魚料理・グルメを思い切り堪能した。下の写真は魚やさんとレストラン・夕食の様子。

15日(土)スカルレース:

さて、初日はマスターズスカルレース(2X, 1X)の決勝。本大会の一般レースは2000mで実施されるが、マスターズレースは途中の1000m地点からゴールまでの1000mレース。1000m地点にステッキボートは無いので、Floating Start(所謂、フリースタート)により行われる。今大会ではマスターズ出漕クルー数が少ないので年齢カテゴリー毎の単独レースとはならず、幾つかのカテゴリーのクルーを1レースの中に混ぜて実施された。(全日本マスターズレガッタでも出漕クルー数が少ない種目は同様のレース組み合わせを採用している)淡青会クルーのトップバッターはM2XカテゴリーD。カテゴリーEレースとコンバインされたレースとなった。下の写真は出艇前にBoat Merchialテント前で種目とクルー名のカードを持たされて出漕クルー確認のための写真撮影。これをスタート地点に電送する模様。

艇庫前の船台で岸蹴り準備中。

淡青会のM2Xクルーは今大会がスカルレースのデビュー戦。一応、レースの1か月程度前から少しずつスカル乗艇の練習はしていたが、やはりスカル乗艇練習の不足の感は否めず。モーターにも抜かれて最下位というほろ苦いデビューとなった。誰しも最初は負けから始まる訳であり、今後は今回のリベンジを期してスカル乗艇を継続して頂きたい。
下の写真はレース後に船体に付着した塩水(このコースは河口の運河を利用しているので水は海水)を水道水で洗い落とす。

さて、次はおやじ本人の1Xレース。下の写真はおやじの岸蹴り。11月中旬といっても香港の日中は日本の真夏並みの強い日差し。首が日焼けするといけないので首には手拭いを巻いてW.Upした。(手拭いはレース前に外す)

W.Upを終え、1000m地点で待機。レース時間が過ぎても一向に始まる気配なし。審判艇に確認すると前のレースが10分程度遅れている模様。漸く前のレースが通過し、おやじのレースとなった。(おやじは4レーン)さて、問題はFloating start。戸田コースや荒川で2杯で並べる際に、互いに合わせるようにしてやるのは何度もやっているが、6杯、7杯の艇を一体上手く舳先を並べることができるのか?今回は軽い斜め順風が吹いており、審判艇の指示に従って前に出たり、バックしたりしている内にボートが隣のレーンに入ってもう一度やり直しのようなことを何度かした。漸く揃っただろうかというところで真横にいる審判艇から以下のコールあり。

  • Every crew hold(艇止めの意味)
  • Quick start
  • Go

おやじは大会Rules of Racingに書かれていた"Attention"のコールを待っていたが、それは無く何と"Go"というコールが横から聞こえた。「まさか!」と思って横を見ると1、2レーンのクルーが既にスタートし漕ぎだしているのが見えた「ウソだろ!」と言いながらおやじも遅れてスタート。(後述の通り、大会審判庁には本件の問題を指摘した)この時点で他のクルーに1艇身近いリードを奪われる。早い段階で追いつこうと頑張ったが200m地点通過時には1レーンと隣の5レーンに半艇身程のリードを奪われていた。下の写真はスタート直後。1,2レーンの現地人スカラーが1艇身以上リードし、4レーンのおやじは出遅れている。

今回は競争相手の情報が全くなかったが、何とか勝てるだろうと漠然とした自信があった。でも500m過ぎでは少なくとも並んでいなくてはならないと、レートを落とさない様に暫く頑張る。500m過ぎで1レーンは落ちて行き、残すは5レーンのみ。「5レーン誰だっけ?結構強いな」と思った。600m付近で水中を上げ抜きにかかる。750m地点では1シート程度リードした様に見えた。ここから更にレートを上げ引き離しにかかるが離れない。逆に横に並ばれた様な雰囲気。残り100mで祈るような気持ちでスパートを入れた。下の写真はSTRC前を通過し2杯でデッドヒートする4レーン(おやじ)と5レーン(インド人)。

ゴール音がププッと連続して鳴った。横を見ると僅かに抜かれたような気配あり。咄嗟に「スタートで出遅れなければ勝ったのに!」と悔やまれた。「競漕規則を知らない間抜けな審判にやられた!」と悔やんでも後の祭り。
下の写真はレース後に優勝したインド人Mr.Jamesとの記念写真。デッドヒートを制して優勝したJamesは仲間と抱き合って大喜び。おやじは前述の通り香港まで遠征してまさかの2位。ガッカリ。

後でJamesに経歴を聞くと、1989年のアジアチャンピオンとの事。どうりで速い訳だ。年齢は44歳とのことでおやじより4歳下。こうなると年齢ハンディキャップ修正後のタイムで勝ったことで満足する以外なし。ついでにいつも年齢ハンデ修正タイムで競っている狩野川のK藤さん(今大会カテゴリーEに出漕=優勝)とも比べてみた。下記の通り年齢ハンデ修正タイムではおやじが1番だった。納得できぬがこれで満足するしかない。

  • 名前、年齢、計測タイム、年齢ハンデ、修正タイム
  • ---------------------------------------------------------
  • James、44歳、3'45"74、7.2秒、3'38"54
  • おやじ、48歳、3'46"24、11.0秒、3'35"24
  • K藤、59歳、4'02"41、25.6秒、3'36"81

15日(土)夕食(グルメツアーその2):

前述のとおり、スターターが手順を無視したスタートコールをしたため、バカ正直のおやじは、金メダルを取り損ね、やや悶々としていたが、気分を取り直してグルメツアーへ出発。この日はSTRC艇庫の反対岸にあるフォローティングレストランでの夕食。ここも鯉魚門と似たような形式で鮮魚を選んで料理をして貰う形式。下の写真は夕食の風景と夕食後の全員集合写真。この日も少々食べ過ぎ・飲み過ぎの感あり。

16日(日)無しフォアレースと表彰式:

日曜日は淡青会4名で無しフォアクルーを組んでマスターズレースに出漕。我々の平均年齢は丁度50歳。マスターズカテゴリーD。このレースは4杯レースだが、各々クルーの年齢カテゴリーが異なる(A,B,C,D)ので着順に関係なくゴールすれば全クルーが各々のカテゴリーでの優勝となる。
我々は一番年を食ったクルーだが、何とか1着でゴールしようと目論んで岸を蹴った。下の写真は岸蹴り前のクルー集合写真と岸蹴り。

さてレース。日曜朝一番で審判長に昨日の審判のコール手順ミスを指摘した甲斐あり、この日のスタートは"Go"の前にきちんと"Attention"のコールが入った。お陰で?スタートダッシュでは僅かにリードしたが、中盤で2杯に追いつかれ半挺身ほどリードされた。残り500mで頑張ってカンバス差弱に差を詰めた。しかし、ラストスパートに入ると流石に若いクルーの方が強く、抜き切ることが出来ず、4杯が雪崩れ込む様にしてゴールを通過。4杯中3着だったが水の明かない好レースだった。下の写真は750m付近。横一線のデットヒート状態が分かる。

そして狩野川のK藤さんがSTRCバルコニーから撮影してくれた写真。

  • レーン、クルー名、カテゴリー、タイム
  • 1、HKUA、A、3'19"28
  • 2、LRRC、B、3'20"87
  • 3、淡青会、D、3'20"00
  • 4、RHKYC、C、3'18"37

下の写真はマスターズレースの表彰式風景。インドのMadrasチームとも交流が出来た。(彼らのチームカラーのネクタイもゲット)表彰式ではマスターズ無しフォア優勝の金メダルを貰った。尚、今回出漕した全てのクルーに対し、賞状が授与された。

Royal Hong Kong Yacht Club艇庫見学:

表彰式後、夕方のFairwell Partyまで時間があるので、STRCから少し離れた位置にあるRoyal Hong Kong Yacht Club艇庫まで足を運び内部を見学させて貰った。艇庫の規模としてはSTRCより若干小さいが内部は良く整理整頓されており、好感が持てた。下の写真の通り艇の出し入れの際にクラッチのピンで船底に傷をつけない様にいくつかの工夫がしてあった。一つはテニスボールを半分に割ったものにゴム紐をつけ、ピンの先端に被せる工夫。(なかなかスマート)そしてもう一つは船底にカーペットを被せてピンが当たっても傷をつけない工夫。

そうそう、今大会ではビギナーのレースも行われていた。水上で見た時に日本のナックル艇によく似ているなと思ったが、RHKYC艇庫にその艇が置いてあった。下の写真がそれ。正しく日本発のナックルフォア艇。ナックル艇は海外でも活躍していることが確認できた。

Fairwell Party:

RHKYC艇庫見学後、さらに時間があったのでSha Tinの商店街をブラブラ散歩して時間を潰した。夕方になったのでSTRCへ行くと一般レースの表彰式をしていた。驚いたのは極小額(フォアで1000HK$)ではあるが、優勝クルーには賞金が渡されていた。

さて、最後にFairwell Party。お世話になった大会事務局の秘書Amity Wonちゃんともツーショットで記念写真。淡青会4人全員でも記念写真を撮った。

このパーティーで不思議な光景を見た。日本から来たMBCRC若手メンバーのN平君とそっくりの若者がSTRCのメンバーとして大会に参加していた。世の中には自分とソックリの人間が3人いるという諺があるが、正にそれを目の前で見ることが出来た。

香港レガッタはお薦めの大会

最後に、本大会は大会事務局のホスピタリティーが非常に良く、特に海外からの参加者に対して空港までのバスの送迎など至れりつくせりの非常に良い大会だった。ホテル代も大会事務局経由で申し込むことで、宿泊朝食付きで日本のビジネスホテル並みの安い値段で宿泊することが出来た。
マスターズ大会を併催するのはは今回が初めての様であり、Floating startの要領で一部不備があったが、次回以降は今回の問題点を次回以降改善してくれると思う。
羽田から往路4時間、復路3時間半のフライトで行ける近場。費用面でも前述のグルメツアー付き、諸費用込みで1人11万円程度なので国内遠征とさして変わらない廉さも良い。
以上