panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

酸っぱくないし、辛くもない

  ナーナーに行ってきた。バスも同じように見えて、行き7バーツ、帰り8バーツと微妙に違う。月末は両替の季節だ(今回は例外)。アパートの支払いは現金である。フロストBと名のる、ナーナーと聞くだけで嬉しくなる方には申し訳ないが、両替だけして帰る。前にナーナーのことは書いたね。管理室で支払いを済ませて部屋に戻ると、エンポリの昼食で胃が重いのか、圧倒的な疲労に襲われる。やはり寄る年なみとハノイ疲れが残っている。数時間してようやく起き上がり、こういうときこそ貴重な入浴剤と、バスタブにお湯を張り、しばしつかる。そういえば、これをくれたグループは3人なのか4人なのか。確認しておく必要があるなあ。帰国即無視、されないように。ともあれ、味噌汁の素といい、入浴剤といい、かゆいところに手の届く日本とは、また、そういうものをおくってくれる日本人とは、どうも世界の孤児だ。これほど結果的に儒教的な理想が現に社会に行き渡っているところはない。本場中国は日本だと、中国に云い返そう。こういう風に穏やかな人間を基準に世界は回っていないし、構成されてもいない。・・・バスタブも、タイに長くいると、やはり日本のがいいように思うようになった。まずぐね?。昔はそんなこと考えもしなかったのに。末の老化?。松の廊下。
  だんだんハノイで考えたことが思いだせなくなっていくが、食事、テレビ、クラシック、顔、と、覚書。食事は、タイのがあまりに、というのはどの料理も総じてということだが、酸っぱく辛いので、インドシナ料理全体はそうなんだろうと思っていたが、そうでもないじゃないか。ヴェトナムでは、辛みも、後から各自勝手に足す式だ。つーんと来るあの酸っぱさは、バンコク中に漂って、たまに辛みと混ざってクシャミがでるが、そういうこともハノイではない。つまり春雨みたいなのを冷麦よりはやや東南アジア風に食べるくらいで、ごく人間的だ。どうもタイの食事はおかしい。と云ってはいけないが、田舎料理のディープさがあって、軽いくせに癖があり、つくりが簡単な割にくどい。はっきりいって味の淡白さではヴェトナムが洗練されているという感じすらある。でもヴェト料理にどんなものがあるのか、よく経験できなかった。ホーチミンも入れて10日以上いたが、特段、ヴェトナム料理らしきものは口にしなかった。ただ味付けみたいなものはあっさりしていたので、タイの問題が自分のなかで浮上した。
  インドとの距離の問題かもしれないが、他方ハノイで中華を食べようとしてもそういう店はほぼなかった。つまり、タイはインドシナのなかではインドに近く、ヴェトナムは中国(シナ)に近い。だからその影響(タイはインドの、ヴェトは中国の)かと思ったが、ハノイでは中華の店に行きつかなかった、ということである。ヴェトナム人は、ホーチミン胡志明と書くように、漢字を使ってきた民族だが、中越戦争のせいなのか、中国の影があまり感じられない。これも正しいとすれば、珍しい。タイの金持ち層は中国系である。東南アジア経済は華人のものなのだ。ヴェトナムはどうなっているのだろうか。例外だとすれば、日本と並んでほとんど唯二の国である(なお中越戦争社会主義圏同士の最初の戦争であり、社会主義への幻想が決定的に崩れるきっかけとなった戦争である)。
  だんだん微妙になっていくが、顔つきもあっさりしているので、ヴェトナム人のなかに日本人の面影がより強くある。帰国して、あ、タイに、で最初に感じたのは、タイ人の顔つきがタイ料理のようで、ちょっと個性的だという点だった。勿論顔つきの優劣なんかを云ってるのではない。ただ、日本人が好む顔を強いてえばヴェト君だろうねというくらいの感じ。好みの問題は別にして、顔つきも体つきもほっそりして、知的な感じが強い。タイ人大衆に知的な感じはない。タイ人もほっそりしているのでカッコいいと思う人は多いだろうが、ただそれだけで、知性と結びつくような印象がないので、そのへんのあんちゃん風情の感が強い。私は実はタイ人がカッコいいねという話にはいつもそうだねと云ってきたのだが(大人だから)、ほんとにそう思ったことはあまりない。カッコいいことに鈍感なことは認めるが、それによって人間的に引きつけられるといったことは、男女ともに対して、ないのだから仕方あるまい。ま、老人だから。もっほっほ。
  こうして知性と本屋の関係に話は及んで、こんなことしてる場合じゃないということに気づき、一時さよなら、、、、、、、、、、、、、、、、、。写真添付が時間食うんだよなああ。
  タイもそうだが、ものすごく子供を大切にしている。ハノイ大教会前の小学校の下校時の混雑は、一個の風物である。バイクに便乗して帰るのである。やあ、日本はアジアとしては子供に厳しい近代化だったなあと、思う。子供は徹底的に甘やかして育てたいものである。少数派?