過去の歯車は廻さない

λに歯がない (講談社ノベルス)

λに歯がない (講談社ノベルス)

Gシリーズ第5弾は、事件性としては『φは壊れたね』以上に薄いというかシンプルで、逆にビックリ!みたいな印象があります。それよりも犀川に対する、萌絵の反応が感慨深いのが特徴でしょうか。昔は「きゃっほう」と無邪気にはしゃいでキス、な流れを思い返せば大人になったよなぁと。セクシーにしっとりと迫る感じがグッド!
シリーズを追う毎に読みやすくなるのは妙な感覚、でも悪くはないです。もはやミステリの骨子がどうというよりも、『G』の大きな枠組みの中のゼンマイ仕掛け…のような一冊ではないかというのが正直なところかも。いつもの順番通り、犀川→海月→萌絵のミステリィ解でしたし。
最終的には、山吹・海月・加部谷のトリオと萌絵が、「死」に対する「何か」を得ていく物語なのでしょうか?真賀田四季の「再生」が顔を出したときに、どのような化学反応が起きるのか?…などと妄想しつつ。とりあえず、トリオの出番もうちょっと増やしてほしい、とは思ったのでした。