アナログシンセの VCO ブロック (36) -- 温度補償回路(6)

SSM2164 は現行品であり、Digi-Key でも単価 620 円で1個から買えますが、7,500 円未満の注文では割高な送料がかかります。
そこで、別の国内の通販からコンパチ品の coolaudio 製 V2164D (単価 350円) を買うことにしました。
別に急ぐわけではないので、時間がかかる代わりにコストの安い、郵便振替で送金/メール便で配送の組み合わせで注文したのですが、トランジスタ・アレイを使った実験回路の製作の目鼻が付かないうちに、品物が到着してしまいました。
それはさておき、温度補償回路の Spice シミュレーションで次の2点が気になっていました。

  • アンプとしてのリニアリティが悪い
  • 差動ペアのベースに接続されている抵抗

まず、リニアリティについてですが、これは純粋に (私の) シミュレーション上の問題です。
まず、前回の結果のグラフを再掲します。

上のグラフは出力電流の傾き (数値微分) をプロットしているので、出力が完全なリニア、つまり直線になれば、その微分は一定値となってグラフは水平線になります。
微分値を見ているので非直線性が敏感に表示され、リニアリティが悪いことが分かります。
ちなみに、前回の回路図では、Q5、Q6 だけが 2N2222 ではなく、2N3904 になっていますが、これは意図的なものではなく、最初は 2N3904 を使って回路図を書き始めましたが、途中で気が変わって houshu さんの回路と揃えようと 2N2222 に変更した際に、この2つだけ変更を忘れてしまったのです。
しかし、これ自体はリニアリティの悪い原因ではなく、2N2222 に変えても同様の特性でした。
基本型のカレントミラーを使っている部分をウィルソン型に代えるなど、いろいろ回路をいじってみたのですが、一番怪しいと思った部分が原因でした。
それは、Vee にダイオードが3つ直列につながっている部分とその周辺の、差動ペア段のテイル電流供給部のカレントミラー回路のダイオードトランジスタのマッチングが悪いせいでした。
houshu さんのシミュレーション回路では、ダイオードにはデフォルトのモデルを使用しているようですが、私は単純に 1N4148 のモデルを使いました。
これが良くなかったようで、この部分のダイオードは、すべて 2N2222 トランジスタダイオード接続したものに置き換えました。
具体的には下の回路図のようになります。

全体の回路図は (→こちら) です。
この回路に変更してシミュレーションした結果が下のグラフです。

これを見れば、直線性が改善されていると言うか、前の結果がひどかったということが分かります。
差動ペアのベース抵抗の問題は、次回以降の記事に回します。