チリの風  その472  2012年5月14日―20日

近くに栗の木があって、実が落ちていたので拾ってきました。それをカレーに入れたら濃くのあるおいしい味になりました。幸せ。
火曜日、久しぶりに峰村夫妻・竹坂さんと山歩き。前回の山歩きで眩暈がしたので、実のところ怖かったのですが、無事帰ってきました。
木曜日、元部下とタイヤ検品の仕事。これも無事にこなしました。
金曜日は佐野さん峰村夫妻と昼食会。食事の後、会話を楽しみました。土曜日に、出版会社から連絡があり、軌跡の甦生(中)が出版されそうとか。チリの風の読者は義理でも(上)を1冊買ってくださいね。
日曜日はいつものマラソン練習をしました。仲間は郊外に出かけたようで、鉄人山口さんと二人で楽しく走りました。
来週月曜日が祝日なので、この週末に全国で60万人の観光客が観光地を訪問するらしい。私もアニータと午後の便でプエルト・モンに。1週間近く、チロエ島の旅を楽しみます。

(政治)

1) 27F
2年前の2月27日のことを27Fと言います。あのとき、ツナミで行方不明・死亡した約200名の被害は政府のエラーによる可能性があるとして関係者8名が起訴されていますが、今週はその朝の政府・緊急事態対策所でのビデオが問題になりました。それによるとバチェレット前大統領が、フアン・フェルナンデス島でツナミがあったのを知っていながら、あまりツナミ・ツナミと騒ぐと国民の動揺を煽るから、報告を抑えておくことにしようとコメントしています。つまりツナミが来るというのを抑えたのはバチェレットの責任と言うわけです。これに抗議して野党議員は国会の27Fツナミ委員会から全員が抗議の退場。政府がバチェレットつぶしを図っているというわけです。
しかし問題のビデオは何も急に出てきたものではなく、事故直後にも放映されていますが、その時は大きな問題になっていませんでした。2年前に見逃されたことが今になって大問題になるのは、どうしてかな???? 
やっぱりバチェレットにどうしても勝てそうにないから、この27Fに頼ってバチェレット降ろしを図っているのかな。
例年、5月21日に大統領の教書が国会で発表されますが、元大統領のフレイは、政府に抗議するためこの式典に参加しないと表明しています。野党側は分裂騒ぎが続いていましたが、このバチェレット問題で再度、連帯を強化しているとか。 昨年のこの式典は国会内外でもめましたが、 今年は始る前からもめています。

2) 政府機関の国民消費者サービス(セルナック)は各地のショッピングセンターで、駐車場やトイレの使用料を徴収しているのは消費者保護の立場から認めがたいとしました。
じゃ、もう駐車場料金やトイレの使用料は無料になるのかと思ったら、政府が(運輸省や住宅省など)それは政府機関が口を出すことでは無いと全く逆のコメント。オーナーから政府にクレームがあったのでしょうね。
じゃ、今までどおり支払う必要があるのかと思ったら、経済大臣がセルナックの言うことは理があると発表。これは消費者の側に立たなければ政府の人気が悪くなると思ったからでしょうね
しかしはっきりしているのは全然統制が取れず、各自が独自のコメントして、聞いている人はいったいどれが政府の方針なのか理解できないということでしょう。これでは政府の人気が上がらないのは無理もない。
新聞の投書に「政府がいちいち細かいことに口を出さなくても消費者が判断するはず。駐車場台が高いと思えばそこへは行かない。客が来なければ店のほうでも客を呼ぶため駐車場代など取らないようにするはず。つまり自然の流れに任せるのが一番」結局、どうなるのかな?

(経済)

1) チリ経済
ギリシアが世界に影響を与えていますが、チリの新聞の経済面のトップに世界でもっとも影響を受けた株式市場はアメリカ・ブラジルそしてチリとか。解放経済・資源の輸出がその原因とか。ほんまかな?
チリ市場は今週5.3%のダウンでした。もっとも原油の価格は4.8%、銅の値段は3.5%の下げですから、特に際立っているわけではありません。そうは言っても、チリの経済は今年の第1四半期には5.6%の上昇ですから立派なもの。特に建設業界は強気で2012,2013年は記録破りの建設ブームになると見ています。大丈夫かな?

2) イラン政府の資産凍結
ニューヨーク地裁が日本の銀行にイラン政府の資産を凍結するよう指示を出したそうですが、イランとの戦争がしばらく実施できないと見て他の問題を拡大させようとしているのでしょうね。しかし一地方裁判所がかくも政治的な判決を出すのですね。あっ、チリの風とは関係ないか?

(一般)

1) 学生運動                      
今年も昨年同様に学生が教育改革を要求して運動を続けています。今週全国各地でデモがあり、サンティアゴでは数万人の学生が中心街をデモしました。しかし昨年の騒動で学校から追放された高校生がまだ多数復学できず問題になっています。

2) 地下鉄の犯罪
サンティアゴの地下鉄は昨年、南北アメリカの多くの地下鉄の中でトップにランクされました。サービス・インフラ・安全性などで首位だったわけですが、それでもメトロ内での犯罪(ひったくりなど)は増加しています。  
今年の1・3月で276件の訴えがあり、それは昨年対比9%の増加です。危ないのは1号線で特に午後4−8時とか。サンティアゴは南米の他の都市に比べ安全性が悪いとは思われませんが、先日の邦人殺人事件など危ない面を持っていることは事実ですからね。注意が必要。

3)エネルギー問題
第11州アイセンの水力発電所計画が、各関係官庁から建設許可が下り、工事がはじまる間際になって最高裁判所から一時中止命令が出たのがまだ話題になっています。ダム予定地に地面の動きが認められるということが何故それ以前の建設許可に影響しなかったか、責任問題になりそうです。
さて福島原発事故独立検証委員会の最終報告書では日本の原子力発電事業は海外の警告に耳を貸さない自信過剰体質になっており、政府が国の誤りを認めない限り原子力行政の将来は無いとなっていますが、アメリカ・ソ連・日本で原発事故は起こっており、世界中どこでも起こりうることは明白。また地震・ツナミに弱いことも実証されたので日本やチリのような地震・ツナミ国には安全の観点から設置すべきではないでしょう。
エネルギー源の確保がなければチリの命綱の銅産業にも悪影響ですね。大手鉱山は独自の発電所を作るのかな?

3) 国勢調査
全国で国勢調査が実施されています。今週、私のアパートに5名の調査員が来て、各アパートを訪問し質問をしました。政府はネットについて興味があるようで、パソコンのこと、ネットにつながっているか、使い方を知っているかなど聞いてきました。そのうち結果が発表されます。
カトリック大司教が調査の中の宗教関係の質問でカトリック信者と答える人の数が少なくなるのを心配していました。

(スポーツ)

1)登山
やりました。チリの登山隊がエベレストの頂上に到着。しかし20年ぶりの快挙です。エベレスト登山は金がかかるので誰でもが可能なスポーツではありません。しかしチリチームは多くの困難を乗り越えて登頂。おめでとう。
昔、ネパールに遊びに行った時、飛行機からエベレストを見たことがあります。9000メートル近いエベレストはともかくチリ最高峰の7000メートル近いオホス・デル・サラドに挑戦した私としては、チリ隊の苦労がしのばれるだけに登頂成功がうれしいです。苦しさのレベルが違いすぎるかな?
もっとも同時期に日本女性の渡辺さんが登頂し女性としての最年長記録を更新したとか。しかし日本の登山界はすごいですね。

2)サッカー
南米大会のリべルタドール杯に参加中のチリ大学チームは今週、準々決勝を敵地パラグアイに渡りプレー。1対1と引き分けで戻ってきました。来週の結果では、たとえ0対0の引き分けでも準決勝進出になります。
国内リーグ戦は予選が全部終了し、プレーオフに残り8チームが決定しました。コロコロ、チリ大学、カトリカなどです。決勝リーグはどうなるかな?
さてワールドカップ予選が近づき、海外で活躍の選手がチリワールドカップの南米予選が近づき、外国で活躍する選手がチリに戻ってきました。メキシコで得点をたたき出しているスアソやイタリアのチャンピオンになったビダル、スペインで活躍中のサンチェスなどがどんなチームを作ってボリビア・べネスエラに立ち向かうか楽しみです。


以上