試写会

東京メトロ千代田線を「表参道駅」で下車して原宿駅まで歩く。平日だというのに人の多いこと。メインストリートから少し中に入ると若者たちの世界。場違いな居心地の悪さを我慢していると少し足早になった。

喧騒に飽きたら明治神宮のひんやりとした空間で自分を取り戻す。
ある程度の広さが人間の安定には不可欠だ。

代々木公園ではどんぐりを拾う。

原宿から新宿を経由して中野に移動。
駐車場で出会った猫はレンズを向けると、こちらに近づいてきた。

夕方六時半、中野ゼロで「ワールド・トレード・センター」の試写会。
大ホールがきっちり埋まるほどの大盛況(ほとんどが女性)。しかし映画そのものは、少々期待はずれ。オリバー・ストーン監督、いったいどうしてしまったのですか? これが「アカデミー賞最有力候補」? 9・11のテロを扱いながら、政治性はほとんど捨象されてしまっているし、"感動の救出劇""自己犠牲的精神の発現"としてなら何もこの映画でなくても十分だ。なぜ今この映画なのだろうか、とずっと考えていた。ま、無料の試写会だからね、それ以上は考えなかったが。
主役の二人が救出されて映画は終わる。そしてクレジットが始まる。そのとたん、突然ざわざわし始め、全体の三分の一になろうかという観客がおしゃべりをしながら出口に向かって移動を開始したのである。不快な光景であった。どんな映画であろうと幕が閉じるまでは見るというのがマナーだと思っていたが、試写会では通用しないのらしい。いやこの観客の態度にこそ映画そのものの良し悪しの評価があらわれているというべきか。

ともかく濃密な一日だった。