タミフル耐性を示す遺伝子変異が検出された新型インフルエンザ

大阪府におけるオセルタミビル(商品名:タミフル)耐性を示す遺伝子変異が検出された新型インフルエンザウイルスの概要
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/07/dl/infuh0704-02.pdf

1.患者の概要
大阪府に在住の患者から、タミフル耐性を示す遺伝子変異を持つ新型インフルエンザウイルスを検出。
○ この方は、5月15日に発症し、5月17日に新型インフルエンザの患者であることが確定した患者の濃厚接触者。
○ 5月18日からタミフルの予防投与(10日間)が行われていたところ、5月24日から微熱があり、5月28日発熱相談センターに連絡し、5月29日に新型インフルエンザと診断。5月29日から5日間ザナミビル(商品名:リレンザ)により治療を受け、回復。
○ 患者から採取された検体について、大阪府立公衆衛生研究所において、ウイルスを分離・培養した後、遺伝子配列を確認したところ、6月18日、タミフル耐性を示すH275Y の遺伝子変異が確認された。
○ なお、5月15日に発症した患者のウイルス株についても同様の分析が行われているが、タミフル耐性を示す遺伝子変異は確認されなかった。
○ その後、ご家族を含めた周囲への感染拡大は認められていない。
大阪府立公衆衛生研究所によって実施されたノイラミニダーゼ(NA)遺伝子の一部(250bp)の解析によると、当該遺伝子に突然変異(point mutation)を生じたものであり、季節性インフルエンザ(A/H1N1;ソ連型) との交雑により生じたものではないとのこと。
2.諸外国における状況
○ 6月30日の欧州疾病管理センター(ECDC)の発表によると、デンマークにおいて、海外渡航歴のある新型インフルエンザ患者の濃厚接触者として、タミフルの予防投与を受けていた方が、タミフル投与後5日目にインフルエンザ様症状が出たため検査を行い、新型インフルエンザに感染したことが判明。その後、薬剤耐性の状況を確認したところ、タミフル耐性の遺伝子変異が認められたとされている。
○ 本事例について、ECDC は、タミフルが投与されている患者からタミフル耐性の遺伝子変異を示すウイルスが分離されることは、季節性インフルエンザにおいても観察されている現象であり、今回のタミフル耐性を示すインフルエンザウイルスについて、周囲の者への感染が確認されていないことから、公衆衛生上の危険はないものと考えられると評価している。

なお、ECDC の同報告書では、日本において、タミフルによる治療を受けている季節性インフルエンザに感染した子供を調べたところ、その16パーセントからタミフル耐性を示すウイルスが分離されたが、その感染性は低いものであったという研究結果が紹介されている。

詳しくは
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/07/dl/infuh0704-02.pdf

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