Klaxons/Myths Of The Near Future
★★
★★★★★
先頃行われた9年振りの来日公演も素晴らしかったアイドルワイルドの新作アルバム。2005年には『Warnings/Promises』、2006年にはロディ・ウォンブルのソロ『My Secret Is My Silence』と早いペースで傑作を連発してきているだけに、さすがに今回ばかりは息切れしているんじゃないかと少し不安だったんだが、どうやらそれは杞憂だったようだ。
大傑作『100 Broken Windows』と最大のヒット作『The Remort Part』を手掛けたデイヴ・エリンガと再びタッグを組んだ本作は、サウンドの方もまさに『100 Broken Windows』と『The Remort Part』を足して2で割ったようなギター・ロック回帰作となった。だが、決してこれは後ろ向きな「回帰」などではない。近作でロディ・ウォンブルが自身のシンガー・ソングライターとしての資質を突き詰めたからこそ生まれた、前向きな「回帰」、つまり新たな初期衝動の獲得が表出したものなのである。『Warnings/Promises』〜『My Secret Is My Silence』の延長線上にあるスコティッシュ・フォークなメロディとスケールの大きなギター・ロック・サウンドが見事に融合した「You And I Are Both Away」は、そんな本作を代表する名曲だ。
まあ、正直に書くと個々の楽曲の出来は『Warnings/Promises』にやや劣るのだが、「00年代のギター・ロック・アルバム」としての全体的な完成度はほぼ満点。そう、かつてのR.E.M.がそうであったように、アイドルワイルドはファンと共に年齢を重ね、成長していく、「最新作が最高傑作!」なバンドなのである。ロディ・ウォンブルはマイケル・スタイプの節回しを真似し続けることによって、R.E.M.のそうした本質的な部分まで継承することに成功したのだ。これからもおいらは彼等と一緒に生きていきたいと心の底から思うのであった。全10曲34分。