★★★★
『The Wildhearts Must Be Destroyed』〜解散(活動停止?)〜再始動を経て制作されたワイルドハーツ2枚目の「復活」アルバム。ジンジャーの最新ソロ・アルバム『Yoni』(傑作!)から間髪置かずに発売されたのは、彼の旺盛な創作意欲も勿論あるんだろうが、実際には財政的な側面の方が大きいと思う。つまりソロ活動での赤字分を、固定ファンの多いワイルドハーツでの活動で補填する、ということ。
だから、ジンジャーの中でも「本当に聴いて欲しいのはソロ・アルバムで、ワイルドハーツとしての活動はあくまでもファン・サーヴィス」という想いがあるのだろう。本作のオープニングに8分57分もある長尺曲「Rooting For The Bad Guy」を置いて、一見さんに対する敷居を高くしているのはそれ故の配慮なのだと思われる。
まあ、ジンジャーのことだから(特に最近は脂が乗りまくっているし)曲のクオリティは抜群に高いんだけれども、突貫的な再結成ということもあって、バンドとしての化学反応がほとんど感じられないのは少し辛い。これだったら「化学反応のなさ」を前提条件として受け入れる代わりに編曲に技巧を凝らしまくったソロ作品の方が面白いんだってば。ワイルドハーツの解散前のラスト・アルバム『Endless Nameless』が(傑作ではあるが)あれ程までにぶっ壊れた内容だったのは、彼の創造性が「バンド」という枠に収まりきらなくなった臨界点を示していたのだということを再確認した。全10曲55分。
The Wildhearts - The New Flesh