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おいらが今年初めて聴いて最も衝撃を受けたバンドがオーストラリアのグレイツなら、最も衝撃を受けたシンガー・ソングライターはニュージーランドのキンブラに決まってるでしょうが。おいらは勝手に彼女のことを「ニュージーランドのセイント・ヴィンセント」と呼んでいるんだが(ルックスがちょっと似ているので)、突出した実験性とポップネスのバランスは余裕でセイント・ヴィンセント級。というかダンサーとしての身体性を伴っているという点で、よりケイト・ブッシュに近い存在といえるかもしれない(そう、これは意外と重要なポイントなんだが、ケイト・ブッシュに近づくためには踊りを踊れなければならないのだよ)。
とりあえず本作のオープニング曲である「Settle Down」のPVを観てもらえれば、最初の1分で彼女が本物の天才だということが分かるはず。こうした実験的なナンバーと、ウォール・オブ・サウンド+モータウン調の激ポップな「Cameo Lover」のようなナンバーがシームレスに並んでいるんだから、ニュージーランドとオーストラリアで高評価&大ヒット中なのも当然という感じ。「Plain Gold Ring」のカヴァーが収録されていることからも分かるように、ニーナ・シモンからの影響が色濃いのも個人的には堪らなすぎ。全11曲48分。
追記:本作のアメリカ盤が2012年5月22日に発売されたので、ようやく日本からでもお手軽価格で購入できるようになった。とは言っても、オーストラリア/ニュージーランド盤とは曲目がかなり違うので(4曲オミット&新曲6曲追加。さらにニーナ・シモンのカヴァー「Plain Gold Ring」はライヴ・ヴァージョンに差し替え)、全曲コンプリートするには両方購入するしかないんだが(もしくはオーストラリア盤のツアー・エディション/ニュージーランド盤のデラックス・エディションを購入すれば、「Plain Gold Ring」のライヴ・ヴァージョン以外は一気に全曲揃う)。